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text by Takahisa Matsunaga
photo by Marisa Suda

Interview with Jeremy Zucker




2018年に発表した楽曲「comethru / カムスルー」が10億近いストリーミング数を獲得、その後も誰かと心を交わすことができないもどかしさを、優しいアコースティックの音色を交えて表現した楽曲を発表し人気に。翌年東京・渋谷で開催された初来日公演はほぼ完売するほどの注目を集めた、ジェレミー・ザッカー。パンデミックの期間を経て、3年ぶりとなる来日公演が開催された。21年にリリースされた2ndアルバム『CRUSHER』の収録曲を中心に、最新曲「I’m So Happy (feat. BENEE)」や、今後発表予定の新曲などを交えた、2時間に迫るライヴ。オーディエンスの持っているスマートフォンで撮影するなど、スペシャルなサービスを交えながらのステージ。前回は繊細なたたずまいを感じたが、今回はミュージシャンとしての逞しさというか、観客と最高の空間を作り出したいという強い思いが伝わってくる、とても見ごたえのあるものになっていた。そんなパフォーマンスの直前に、わずかながらのインタビューに応じてくれた。空白の3年間、そしてこれからの展望を、まっすぐな眼差しで語っている。(→ in English)

━━2019年以来の来日公演ですね。


ジェレミー「まず、日本にようやく戻ることができて本当にうれしかった。自分のことだけを考えたら、もっと早く来日することができたのですが、なかなかそういう訳にもいかなかったですからね。でも、僕はこの3年間で内面的に成長できました。それと同時に、自分の音楽もより多くの人に広まっているような感覚がしています」





━━この3年の間にはチェルシー・カトラーを筆頭にコラボレーションも積極的におこなっていた印象です。


ジェレミー「もちろん、それらは自分にとっていい経験につながっている。だけど、オリジナル曲とは異なる難しさがありますね。他のミュージシャンがいると、どうしても相手に気を遣ってしまい、素直な心境を表現しにくい。だから、当初はデータだけのやり取りをして、最後の音録りの時にだけ顔をあわせるくらいで完成させるのがベスト。ただ、チェルシーに関しては別。彼女とのコラボレーションは、とても心地いいものですね」


━━なるほど。


ジェレミー「他のミュージシャンとコラボすることで、自分ひとりで音楽を追求することの喜びや楽しさを改めて実感できた部分がありますね」





━━昨年には2作目のアルバム『CRUSHER』がリリースされました。


ジェレミー「この作品は、良くも悪くも「孤独」な状況で完成されたアルバム。レコーディングが始まったのが、パンデミックが流行してちょっとした後でしたので、本当にひとりで楽曲を制作しなくてはいけない状況になりました。そして曲の方向性がある程度明確になった段階で、プロデューサーを探すというプロセスでしたからね」





━━前作では、全体的に耽美というか繊細な心境を描いた楽曲が中心でしたが、今回はエモーショナルな楽曲なども収録されていますね。


ジェレミー「前作で、それまでの自分をすべて絞り出した感覚で、その後予定していたツアーを通じてたくさんのアイデアを吸収し、次のアルバムへ移行したいと本来は考えていました。ですが、それができない状況になってしまいましたので、消化不良な状態に。でも、新曲は出し続けないといけないし、かつ前と同じようなことを表現してもつまらない。いろいろ悩んだ末に、前作の哀しげな時期を振り返りつつも、まだ自分の中で燻り続けている感情やフラストレーションをここで発散させようと思ったのです。そのことで次のフェーズにも進めると思いましたし」





━━そして2022年には「I’m So Happy (feat. BENEE)」を発表。これもまた、今までにない軽やかな印象の仕上がりですね。


ジェレミー「この楽曲は、1年前くらいから制作していたのですが、途中でストップさせて熟成させていました(笑)。友達数人と旅行をすることになるのですが、なかには『この人がいないとさらに楽しくなるんだけどなぁ』という存在が混ざっていて、そういう気持ちをジョーク交じりで表現した楽曲。そのジョークな感じが、楽曲に軽やかさを生んだのだと思う」





━━ライヴでは新曲も披露していましたが、次の展開も楽しみにしています。


ジェレミー「次のアイデアはたくさんあります。2023年の初めにはリリースできるように頑張りたいですね」


━━どんな感じの音になりそうですか?


ジェレミー「デビュー当初はEPをたくさんリリースしているのですが、そういうカタチで細かく発表できたら。それぞれの作品で、例えば恋愛だけを取り扱ったり、またシンガー・ソングライター風な音でまとめてみたり、哀しげな楽曲でまとめるのもいいと思う。また、パンクを表現するのもいいですしね!作品ごとに異なる表情をお届けできたらと考えています」





photography Marisa Suda(https://www.instagram.com/marisatakesokphotos/
text Takahisa Matsunaga



Jeremy Zucker
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