1980年代のニューヨーク。日曜深夜、ニューヨーカーの密かなお楽しみはWYNY局から流れるトーク番組「セクシュアリー・スピーキング」だった。番組のホストは、強いドイツ語訛りのセックス・セラピスト、ドクター・ルース。誰もが知りたがっているのに誰も教えてくれないセックスの悩みを、性教育学の専門家であるルースが明瞭かつ学術的に一刀両断。時代の先端を走るニューヨーカーでさえ話題にしづらかったリアルな性をあっけらかんと語るドクター・ルースに、人々は拍手喝采を送ったのだ。彼女の評判は全米を駆け巡り、84年にはまさかのテレビ番組が全国ネットでスタート。視聴者から寄せられる奇想天外なお悩みを身長140㎝で既婚者のドクター・ルースが瞬時に解決するギャップが大受けし、有名人が次々とパロディにしたほど。
番組の成功で手にした信頼と知名度を武器に、彼女は社会に蔓延する差別や偏見と戦い始めた。80年代に猛威を振るったエイズへの偏見をなくすべく立ち上がり、中絶問題で女性の権利向上を後押しし、LGBTQの人々に心を寄せて、多くの人々を救ってきたのだ。
フォトジェニックすぎるドクター・ルースに、密着ドキュメンタリーの依頼が殺到するのは当然のこと。数多くのオファーを断り続けてきた彼女を口説き落としたのが、本作のライアン・ホワイト監督だ。ビートルズを支えた元秘書の独白を記録した『愛しのフリーダ』(2013)や、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門監督賞を受賞した『ジェンダー・マリアージュ~全米を揺るがした同性婚裁判~』(2014)などを発表する注目の作家である。本作では90歳を目前にしてもエネルギッシュに世界を飛び回るドクター・ルースを追いかけ、数千時間もの映像資料に目を通し、知られざる人生と家族の物語をカメラに収めた。
両親と祖母をホロコーストで失い、進学の道を諦めたドクター・ルース。終戦後、17歳でたったひとりで過酷な人生に放り出された彼女に、泣く暇などなかった。持ち前の知識欲とバイタリティでソルボンヌ、コロンビア大学、コーネル大学と名門校を渡り歩き、ついには博士号を取得。それと並行して、当時はまだ珍しかったシングルマザーとして娘を育て、3度目の結婚で最愛の夫フレッドと出会い、公私ともに充実した日々を送っていた。研究と自身の経験を通じて浮き彫りになったのは、正しい性教育を受けなかったために、性や家族計画の問題に振り回される老若男女の姿だった……。
波瀾万丈のエピソードが詰まったドクター・ルース誕生秘話と、逆境から生まれた人生哲学が語られる100分は、生きるヒントが詰まった救急箱。自分らしく生きるために学び、恋し、戦い、働く。ドクター・ルースが贈るポジティブで型破りな処方箋が日本に初上陸する。
『おしえて!ドクター・ルース』一般試写会
【日時】8月13日(火)18:30開場/19:00開映 *本編上映時間100分 ※上映後にトークイベント
【登壇者(予定)】星野概念(精神科医など)、トミヤマユキコ(ライター/東北芸術工科大学講師)
【場所】映画美学校 (東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS)
【組数】5組10名
空メールを送信するとプレゼントに応募できます。(←クリック)ご応募お待ちしております。
後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。
【注意事項】
※受付時間やイベントの詳細はご当選者へのみお知らせいたします。
※当選者ご本人を含む2名様のご招待となります。
※満員の際は消防法によりご入場をお断りいたします。予めご了承ください。
※開演後のご入場は堅くお断りいたします。
※場内での録音・録音機器の使用を固く禁止致します。
『おしえて!ドクター・ルース』
公式サイトURL : longride.jp/drruth
8/30(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:ライアン・ホワイト
出演:ルース・K・ウエストハイマー
2019年/アメリカ/英語/100分/アメリカンビスタ/カラー/原題:ASK DR.RUTH/日本語字幕/髙内朝子 配給:ロングライド