2004年に公開されたイギリス映画『ヴェラ・ドレイク』。監督は『秘密と嘘』などイギリスを代表する映画監督のひとりであるマイク・リー。ベネチア国際映画祭で金獅子賞・主演女優賞を受賞した名作だ。
1950年代、終戦の喜びに湧くロンドンに暮らすヴェラ・ドレイク(イメルダ・スタウントン)。夫と2人の子供を持つ献身的な妻であると同時に、母の介護や隣人の病気の介抱など、困った人を放っておけない優しい人柄で周りからも愛されていた彼女。しかし、そんな彼女には誰にも言えない秘密があった。それは、長い間、望まぬ妊娠をした女性の中絶の手助けを無償でしていること。当時のイギリスでは中絶は許されない行為として法律で禁止されていた。
しかしそんなある日の夜、娘のささやかな婚約パーティーを開いていたヴェラのもとに、警官が訪ねてくる……。
優しさ故に中絶の手助けをし続けた、60年以上前の女性の運命を描く映画『ヴェラ・ドレイク』は、米アラバマ州の中絶禁止法が可決成立し、連邦最高裁が下した1973年の「ロー対ウェイド」判決が覆される恐れも出てきた現代、そして、中絶の権利が保障されない可能性がある未来を前に、改めて身に迫ってくる。
ヴェラ・ドレイク
監督:マイク・リー
出演: イメルダ・スタウントン、フィル・デイヴィスほか
2004年公開
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