いつだって間違いだらけであるからこそ、わたしたちは何物からも自由なのだ。ティトノスよろしく身体が老い、クロノスの勝手で時が過ぎようとも、永遠に逃走し続けられることは希望である。石原海の映画にはその希望がある。 山川冬樹(ホーメイ歌手 / 現代美術家)
大阪アジアン映画祭 2018 やロッテルダム国際映画祭 2019 に正式出品された 『ガーデンアパート』が6月7日(金)ー13日(木)テアトル新宿を皮切りに全国順次公開することが決定。
ファスビンダーやジョン・カサヴェテスを彷彿とさせる、愛にすがって夜をさまよう若い男女と狂気の中年女性を長回しで追った物語。金、嘘、孤独、虚像、新しいもの、古いものーー私たちは劇中で、普段とりわけて意識することもないくらい頭の中で勝手に目算し、流してしまっている様々なファクターを剥き出しの形で目にすることになる。エモーショナルなストーリーだけれども、糾弾されるでもなく飾り立てられるでもなく、ただありのままに感情や事象が刻まれた一瞬一瞬は私たちの日常にも確かに存在していて、全ての登場人物たちに、私たちは私たちの断片を見るのだ。
この驚くべき視点を持った監督は若手映像作家 UMMMI. として、英テレビBBC やイメージフォーラムフェスティバル、ポンピドゥーセンター主催の映像祭で作品を発表するなど、アートと映像の領域を横断して様々なヴィデオ作品を手がけるイギリス在住の石原海。本作は石原海名義での長編デビュー作となる。出演は American Apparel やミキオサカベのモデルを務めるなど、モデルとして活躍しつつ、同時に写真作品やZINEも手がける篠宮由香利。
いつの時代も傑作はパーソナルで時代性をはらみながらも普遍的であるが、本作もまたそうしたパラドックスを持つ。ぜひ、劇場で。
『ガーデンアパート』
英題 : The Garden Apartment
公式ウェブサイト https://thegardenapartment-movie.tumblr.com/
6月7日(金)〜6月13日(木) テアトル新宿ほか、全国順次ロードショー
ひかりは、同棲中の太郎との子供を妊娠したばかり。二人とも大学を卒業後、就職をせず にバイトで暮らしていたが、金銭的な問題が浮上する。太郎はひかりに内緒で、叔母の京 子に頼る。しかし叔母である京子は、若くして旦那を亡くして以来、アル中気味で気が狂っ て奇妙な言動ばかり。ついでになぜか家に何人も若い子を住まわせている。ひかりは太郎 に内緒で、叔母の家をひとりで訪れる。これは、崩壊しそうな愛に関する一晩のメロドラ マである。
2018年 / 日本 / 77 分 / カラー / 16:9 / ステレオ
監督・脚本:石原海
共同脚本・プロデューサー:金子遊 アソシエイト・プロデューサー:中村安次郎 出演 : 篠宮由佳利 / 竹下かおり / 鈴村悠 / 石田清志郎 / 石原もも子
稲葉あみ / 彩戸惠理香 /Sac/Alma/ 森雅裕 / 奥田悠介 / 塚野達大
音楽 : Cemetery / 戸張大輔 / Scraps
撮影 : チャーリー・ヒルハウス 録音:川上拓也 美術:三野綾子 スチール写真:ヴァンサン・ギルバート / 黒田零 ヘアメイク:藤原玲子 スタイリスト:塚野達大 スタッフ:奥田悠介 / 太田明日香 配給・宣伝:アルミード / Filmground
