映画「地獄の黙示録」「ゴッドファーザー」シリーズなど、これまでに多数の作品を発表した映画監督であり、ソフィア・コッポラ、ロマン・コッポラという2人の映画監督の父でもあるフランシス・フォード・コッポラ。現在79歳。新作の噂も聞こえてこないーー。そもそも健康を害してはいないだろうか? そんな勝手な心配を一笑に付すような1冊が、本書『フランシス・フォード・コッポラ、映画を語る ライブ・シネマ、そして映画の未来』だ。
かつて映画がサイレントからトーキーへと変化したのを挙げつつ、フィルムからデジタルへの変化をも認め、その新たなフォーマットは、「映画の本質に深く影響を与えずにはおかないのではないだろうか。そして新たな演出術はどうなっていくのだろうか?」と問いかける巨匠の姿には圧倒される。
そしてコッポラは思索するだけでなく、「ライブ・シネマ」というアイデアを実行に移すべく、プロジェクトを立ち上げる。映画でありながら、ライブ・パフォーマンスのスリルを失わない「ライブ・シネマ」という表現方法の追求。それを自ら執筆するなかで、映画論、映像作家としてのルーツまでが垣間見られるのがファンにはたまらない。
翻訳者の南波克行さんの言葉を借りるなら、「コッポラ自身は本書が、ライブ・シネマに関する知見と実践の指南書のつもりのようだが、むしろ今後の夢を語るコッポラの独白の書」。
『フランシス・フォード・コッポラ、映画を語る ライブ・シネマ、そして映画の未来』
フランシス・フォード・コッポラ
フィルムアート社
2478円
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