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現役日藝生による第11回映画祭プレミア上映も含めた全15作品を上映。 ジェンダー・ギャップ映画祭


『はちどり』 ©2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.


日本大学芸術学部映画学科3年映像表現・理論コース映画ビジネスゼミでは、12月4日(土)〜10日(金)の1週間、ユーロスペースにて学生主催の「ジェンダー・ギャップ」映画祭を開催し、全15作品を上映。
今年で11回目となる現役日藝生主催の映画祭。テーマ設定、企画から作品選定、上映交渉、ゲスト交渉、チラシやパンフレットのデザイナー探しから制作、そして会場運営に至るまで、全て3年生の学生主導で行なっている。


学生による本映画祭へのステイトメントは以下。


2011年度に始まった“日芸映画祭”は、今年で11回目を迎えます。
今年3月、「日本の男女平等指数が世界で120位」というニュースが発表 されました。その少し前の2月にはJOC森前会⻑による「性差別発言」もありました。考えてみると、私たち学生もそれぞれがこれまで「女だから」「男だから」と理不尽に扱われてきた記憶があります。私たちの住む日本は、無意識な差別や偏見、特に男女差別が根強く残る国だと改めて思います。 2017年にアメリカの映画界で始まった#MeToo運動も日本では拡散が弱く、これから社会に出る私たち学生は、将来に大きな不安を抱えています。
そこで今年度、私たちの映画祭のテーマを「ジェンダー・ギャップ」に決定しました。映画を学ぶ私たちは、映画史のさまざまな作品を見ながら、まさに映画がジェンダー・ギャップの歴史だったことを知っています。映画にはそれぞれの時代や各国の価値観が無意識に反映されています。⻑年見過ごされてきたジェンダー・ギャップという問題に今一度、映画を通じて改めて 観客の方々と共に向き合いたいと考えてこの映画祭を企画しました。まず、私たちがこの映画祭を企画するに至ったこの心情を知って欲しいと思います。そして古今東⻄の映画15本から、いかに女性たちが戦ってきたのか、そして社会はそれをどう阻んできたのか、ジェンダーをめぐる価値観はどう変わ っていったのか、国によってどう違うのかなどを観客の皆さんと共に考えていきたいと考えています。



『5時から7時までのクレオ』 ©agnes varda et enfants 1994



コメント
「自分の目の黒いうちに、区別が差別に昇格した」と名言を残したのは、女性学の大先輩、駒尺喜美さん。映画は社会の状況を反映する。おんなとおとこの 「あたりまえ」がどうやって「あたりまえ」になったか、そして「あたりまえ」でなくなっていったかを知るためには映画は最高の歴史資料。ううむ、へええ、まさ か、やっぱり、と驚きと感動の連続であることを請け合います!
上野千鶴子 (社会学者、認定NPO法人 ウィメンズアクションネットワーク理事長)


「ジェンダー・ギャップ」は何も特別な概念ではない。政治家や識者が議論するポリティカル・イシューでも、ジャーナリストが新聞やネットの記事に書くための専門用語でもない。それはわたしたちの足元につねに蹲っていて、この社会を生きる一人一人の暮らしの中に浸み出しているものだ。その影響を受けて いるのは女性だけではないから、すべての性の人々が考えるべき問題でもある。1本の映画が、自分の生活の中にもあった不可視化された差別や格差に ついて気づくきっかけになることがある。気づいてしまった後に何をするかは、あなた次第だ。
ブレイディみかこ (ライター・コラムニスト)


両性のあいだにはどうしても相違があってしまい、それゆえに理解が難しいのであるなら、それを乗り越えさせるものこそ「想像力」ではないか。かつて自作 『アリーテ姫』(2000)で語ろうとしたことです。『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019)の主人公もアリーテ姫と同じ魔法にかけられてしまい、やはりもともとの名前や、それまで携えてきたアイデンティティを失わされます。そして、そこからの解決がもたらされない、というのは現実の負の面を反映している から。両映画の間の20年近くの時間はなんだったのでしょう。
片渕須直 (ニメーション映画監督)
※順不同、敬称略



『新女性』


本映画祭では、主に性差に疑問や悩みを持ち、行動してきた“女性”を描いた作品を取り上げる。中国の蔡楚生監督『新女性』と溝口健二監督『浪華悲歌』は、製作国こそ違えど、同時代作品においてどちらの主人公も女性であるが故に苦しい選択を迫られる。そして女性監督の筆頭であるアニエス・ヴァルダからは『5時から7時までのクレオ』を選出。また、家庭や学校での性差に悩む少女の繊細な心情を捉えたキム・ボラ監督の『はちどり』は、スタッフ全員一致で選ばれた。日藝映画祭で初選出となるアニメーションは、遊女であるリンの生き方が更に深く描かれた片渕須直監督『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。また、『RBG 最強の85才』や『この星は、私の星じゃない』のように、男女平等の道を切り拓いてきた女性のドキュメンタリー作品にも注目。そしてなんと、2020年東京国際映画祭コ ンペティション出品作の舩橋淳監督による『ある職場』は、本映画祭でプレミア上映として公開。
例年以上に現代の作品を多く選定したのは、今後の自分たちの生き方の鍵が見えやすいと考えたからだという。今も昔もジェンダー・ギャップに満ち溢れた世界の中で本映画祭を通して、“変わりゆく男女観”に気づき、幅広い層の方々と共に自由に語り合えることを願う。



『この世界の(さらにいくつもの)片隅』 ©2019こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会



<上映作品一覧>※制作年順

『新女性』(蔡楚生/1935)
『浪華悲歌』(溝口健二/1936)
『赤線基地』(谷口千吉/1953)
『月は上りぬ』(田中絹代/1955)
『女が階段を上る時』(成瀬巳喜男/1960)
『5時から7時までのクレオ』(アニエス・ヴァルダ/1961)
『百万円と苦虫女』(タナダユキ/2008)
『叫びとささやき』(イングマール・ベルイマン/1972)
『ハンナ・アーレント』(マルガレーテ・フォン・トロッタ/2013)
『少女は自転車にのって』(ハイファ・アル=マンスール/2013)
『はちどり』(キム・ボラ/2018)
『RBG 最強の85才』(ジュリー・コーエン,ベッツィ・ウェスト/2018)
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(片渕須直/2019)
『この星は、私の星じゃない』(吉峯美和/2019)
『ある職場』(舩橋淳/2020)



『ある職場』



【トークゲスト】
・『ある職場』(2020年/舩橋淳)★舩橋淳監督、平井早紀さん(主演)
・『この星は、私の星じゃない』(2019/吉峰美和)★田中美津さん(登場人物、鍼灸師)
・『ハンナ・アーレント』(2013年/マルガレーテ・フォン・トロッタ)★矢野久美子フェリス女学院大学教授
・『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019/片渕須直)★片渕須直監督

これまでの日藝映画祭
第一回の「映画祭1968」(2011年度)で取り上げた学生運動を皮切りに、マイノリティ、宗教、日中・日韓問題など、様々な社会問題に踏み込んだテーマが特徴の映画祭。 設定されるテーマはいずれも私たちにとって“切実”であり、映画を上映することで「社会を見つめ直し、新たな考えを生み出す機会を作りたい」という思いで毎年開催している。
過去の映画祭チラシはこちら→http://nichigei-eigasai.com/topics.html



〜「ジェンダー・ギャップ」映画祭 開催概要〜

会期:2021年12月4日(土)〜12月10日(金)
会場/一般のお問い合わせ:ユーロスペース(東京都渋谷区円山町1-5KINOHAUS3F TEL:03-3461-0211)
公式ホームページ: http://nichigei-eigasai.com/
主催:日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース映画ビジネスゼミ、ユーロスペース
上映協力:アニモプロデュース/アルバトロス・フィルム/ギャガ/国立映画アーカイブ/ザジフィルムズ/松竹/松竹大谷図書 館/セテラ・インターナショナル/タイムフライズ/東京テアトル/東宝/日活/パンドラ/ファインフィルムズ
Twitter: https://twitter.com/nua_eigasai2021 Instagram: https://www.instagram.com/nichigei.eigasai/

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