森山大道「東京」、1974 年/2013 年, キャンヴァスにシルクスクリーン、 114.9 x 149.5 cm © Daido Moriyama Photo Foundation / Courtesy of Taka Ishii Gallery
森山大道個展「Silkscreen」が、タカ・イシイギャラリーにて開催中。会期は、2月22日まで。
1960年代半ばより一貫して「写真とはなにか」を問い続ける写真家の森山大道。本展は、タカ・イシイギャラリーでの3年ぶりとなる個展で、シルクスクリーン作品を発表する。
1938年大阪府生まれの森山は、グラフィックデザイナーを経て、岩宮武二と細江英公に師事し、64年に独立。68年写真集『にっぽん劇場写真帖』 、72年には『写真よさようなら』を発表。「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれる荒れた粒子、焦点がブレた不鮮明な画面、ノーファインダーによる傾いた構図を特徴とした、既存の写真制度を覆すラディカルな表現で日本写真史に大きな転換をもたらした。その作品は国内外で高く評価され、これまでFoam写真美術館(アムステルダム、2006)、カルティエ現代美術財団(パリ、2003)などで個展を開催している。
写真に先がけて絵画やデザインに親しんだ森山は、グラフィックを好み、メディアによって増幅されたイメージを複製し記号化するポップ・アートに影響を受けた。とりわけアンディー・ウォーホルへの強い共感から、缶詰やコーラなど商品の列を撮りコピーで諧調を飛ばした作品や、事故・事件など同時代を象徴する映像をジャンルの区別なく示した「アクシデント」シリーズを手がけている。
74年に開催された「森山大道プリンティングショー」(シミズ画廊)では、横尾忠則とともにニューヨークに1ヶ月滞在して撮影したプリントをその場で複写し、シルクスクリーンの表紙と合わせて製本した写真集『もうひとつの国』を即売。同年5月には、シルクスクリーンによる「ハーレー・ダヴィッドソン」展を開催し、同じイメージの繰り返しや、1枚の巨大な写真製版で刷りきった当寸大のハーレーを展示した。写真の領域と可能性を広げるひとつの手段として、その後もシルクスクリーンを制作してきた森山。本展では、そのなかから、2013年に制作された大判のシルクスクリーンによる作品を中心に約7点を展示する。
森山大道 「Silkscreen」
2020年1月11日-2月22日
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2階
https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/21255/