「ブラインドテイスティング」をご存知だろうか。ワインの顔であるラベルやボトルの形状を隠した状態で試飲をする。事前にワインの情報を持たないまま、グラスに注がれたワインを味、色、香りから銘柄や品種、ヴィンテージ、産地などを言い当てる。
ソムリエコンクールの花と言われるこの推理ゲームが、11月29日(土)、shibuya bedにて開催された。
「第1回 shibuya wine challenge」と名付けられたこのイベント。出題者となるのは、NeoLではおなじみ shibuya bedのソムリエ 宮地氏。ワインインポーターであるラフィネの文屋氏。そして、審査員(解答者)ははfacebookなどを通じて集まったワイン愛好家14名。
この日用意されたのは、フランスワイン7種、南アフリカワイン7種の計14のワイン。もちろんすでにボトルは”目隠し”された状態。
テーマは「フランスワイン vs 南アフリカワイン」。世界最高峰のフランスワインに、近年飛躍めざましい南アフリカワインが挑む格好だ。純粋なテイスティングで、どんな結果となるのか。各国それぞれ1本ずつをティスティングし、審査し採点。それを7回繰り返す。
参加者の中には、ソムリエの資格を持っていたり、飲食関係者もいる。しかし、ワインは数あれど、すべてを試飲している人などいない。生産国がわかっているとしても、答えを導き出すことは至難の業だ。審査員たちは、グラスに注がれたワインを見つめ、会話もそこそこに、その知識と経験をもって推理を続ける。
約1時間半後、ようやく7回戦までが終わると、その結果は、ある程度予想通りではあった。フランスワインの5勝1敗1分。しかし、それぞれのフライトでの得点を見れば、それほどの差はないことがわかる。
宮地氏の評によれば「フランスワインがリリース間もないタイミングながら、今飲んで楽しめたことが印象的。この10数年でのフランスワインの変化が見て取れる。南アフリカの内在するクオリティは可能性を感じさせてくれたとともに、フランスワインのコピーでもなく、南アフリカらしさの片鱗を感じさせる」とのこと。
審査員たちは、遅めのランチを味わう。ひとときの心躍る推理ゲームの余韻が、その会話を弾ませる。
こうして、和やかなムードのまま、第1回イベントは終わりを迎えた。
さて、この「shibuya wine challenge」。少々ハードルが高く感じられるかもしれないが、実は、そんなに構える必要もないと思う。
文屋氏いわく「ワインとはスピリチュアルなもの」なのだという。つまり、それは歴史、銘柄、味、香り、信仰…どの要素をどんなスタイルで解釈しても、それは正しいということだ。このイベントの根幹にあるのは、「自分の好きなワイン」を探求していくこと。ワインを好きでもっと知りたいなら、参加資格は十分である。
いろんなワインに触れてみたいな、と思っているアナタ。第2回(参加希望はこちらから https://www.facebook.com/events/1514298372185617/)に、ぜひ参加してみてはいかがだろう?
■第1回 shibuya wine challenge 結果。
今回の高得点上位は、この3本。
仏:シャトー・オーマルビュゼ2009(中央)
南ア:キュベ・シネマ・ピノノワール2013/クリスタルム(左)
仏:シャサーニュ・モンラッシェ・レ・ブランショ・デュス2011/コフィネ・デュベルネイ(右)
詳細は、下記結果よりご覧ください。
Flight1〜Flight7までテーマ別に設定された対決。Flight(フライト)という表現は、「対決」を意味している。
【 】内は、審査員の合計得点(100点満点で計算)
■Flight1
仏:ブリュット・トラディションNV/フレデリック・マルトレ 【94+】
南ア:メソッド・キャップ・クラシック・ブリュット・リザーヴNV/コルマン 【92+】
<宮地氏評>
初戦はシャンパーニュに軍配。フレデリック・マルトレは三品種のブレンドですが、ピノ・ムニエの持つ色みのある果実味が際立っている印象。対するコルマンは溌剌とした酸、レモンと優しいトーストの香りでシャンパーニュらしいエレガントさを表現。わずか2ポイントの差ですが、価格を考えると善戦したと称えたいところです。
■Flight2
仏:サンセール・ブラン2012/ジェラール・ブレイ 【95】
南ア:ゴースト・コーナー・ワイルド・ファーメント2013/セダーバーグ・ワインズ 【89】
<宮地氏評>
またもフランスワインの勝利。軽やかで清涼感のあるサンセールがソーヴィニヨン・ブランに期待する要素を多く内包しており審査員の支持を集めました。ゴースト・コーナーは海に近い石灰質土壌由来の塩味を含んだ香りが、ワイン単体としてポジティブに受け止められなかったのではないかと思うと残念です。
■Flight3
仏:アルボワ・ウイエ・キュベ・デ・ポエット2012/ドメーヌ・リジエ 【93】
南ア:シュナン・ブラン・プライベート・セラー2009/ライクス 【93】
<宮地氏評>
ここでイーブン。サバニャンとシュナン・ブランという異なる品種対決でしたが、テーマを山のワインとしました。酸化的ニュアンスではなく芳香性の高いサバニャンと重心のしっかりしたふくよかなシュナン・ブランという対照的な山のワイン。どちらも甲乙つけがたく、南アフリカの代表的な白品種が堅実に結果を残しました。
■Flight4
仏:シャサーニュ・モンラッシェ・レ・ブランショ・デュス2011/コフィネ・デュベルネイ 【96】
南ア:カルトロジー2013/アルヘイト・ヴィンヤード 【95+】
<宮地氏評>
残念。これでフランスの3勝1分け。今回のシャサーニュはクリオ・バタール・モンラッシェに隣接する0・85haのヴィラージュ。落ち着きと輪郭のはっきりした果実味が特徴的なシャルドネ。今回のティスティングのなかでも上位に入る高得点をあげました。
■Flight5
仏:グリニャン・レ・ザデマール・キュベ・セル・ド・クラン2011/ビザール 【93+】
南ア:セレニティー2009/アタラクシア・ワインズ 【92+】
<宮地氏評>
フライト5はローヌ品種対決。シラー中心で艶やかさとまとまりのあるビザールに対し、セレニティーはもう少し時間が必要なワインだったのではないでしょうか?フレンチオークのバリック熟成が長く、まだ一体となっていない印象。若干のワインに溶け込んでいないブレット感も1ポイントの差に表れたと思います。
■Flight6
仏:ジヴリー1erCruクロ・サロモン・ルージュ2012/ドメーヌ・デュ・クロ・サロモン 【94】
南ア:キュベ・シネマ・ピノノワール2013/クリスタルム 【96】
<宮地氏評>
遂に南アフリカが一矢報いる展開。穏やかな酸をまとったクロ・サロモンに対し、キュベ・シネマはその完成度の高さでブルゴーニュを凌駕しました。エキゾチックでヴァイオレットを思わせる豊かな果実と、そこにギリギリのバランスをもたらす酸。決してニューワールドのピノノワールではなく、フィネスを感じさせてくれるワイン。残念ながらインポーター完売。ワインショップに急いでください。
■Flight7
仏:シャトー・オーマルビュゼ2009 【98】
南ア:Z(ジィー)2009/デ・トレン 【93】
<宮地氏評>
最終戦はボルドー、サンテステフのシャトー・オーマルビュゼの圧勝。優良ヴィンテージながらエレガントな仕上がりで今飲んでも落ち着きを感じさせてくれるオーマルビュゼに非の打ち所がなかったのが勝因。Zはこれも飲み頃がもう少し先でしょうか。完熟した果実、暖かなハーブの香りが楽しめましたがもうひとつ一体感が欲しかったところ。
今回の登場したワインはこちらでもご購入いただけます。
【ANYWAY GRAPES】
http://sei-ya.jp/anyway-grapes/
shibuya bed
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2−23−13
電話:03-3476-6120(ご予約承ります)
OPEN:18:00~26:00(土曜・日曜・祝日定休)
http://www.shibuya-bed.jp/
第2回 参加希望はこちらから https://www.facebook.com/events/1514298372185617/