恵比寿「猿田彦珈琲」に教わる、スペシャルティコーヒーのドリップ講座。基本編・応用編を経て、前回いよいよ実践編に突入したものの、目指す味わいとはほど遠い結果に……。幸せな一杯を手に入れるべく、今回も引き続き実践に挑戦! 講師はお馴染み、「猿田彦珈琲」のロースター・都築尚徳さん。
実践して改めて知った、奥深いドリップの世界。口に含んだ瞬間の印象、薫り、アフターテイストも、プロのそれとは全く違う。
「まずはその違いに気付くことが第一。目指すものがあれば、抽出の仕方も変わってくるはず」と、都築さん。
目標が決まれば、あとは数をこなして腕を磨くこと。ドリップのコツを掴んだら、飲み比べ、さらに一歩進んで自分好みの味わいを見つけるもよし。
「好みの味を探すなら、いろいろな豆に挑戦してみるのも面白いですよ!」
淹れ方はもちろん、使う豆でもまた仕上がりは大きく異なってくる。しかし、数ある豆の中から何を選べばいいものか…。初心者におすすめの豆は?
「スタッフの間でもかなり好みは分かれるので、一概には言えないところ。あと興味深いことに、男性と女性でも意外な好みの違いがあるんです。例えば、上品な花を感じさせるケニアのツングリと、ボディ感があるボリビアのメルガールだと、前者は男性、後者は女性の方が好まれることが多い。これは私にとっても予想外でした」
それではと、今回はこの二種の豆を使ってドリップに挑戦することに…。
まずは、ケニアのツングリ。20gの粉を用い、300ccのコーヒーを淹れる。前回の反省点を踏まえ、お湯の太さを均一に、粉の上にまんべんなく注いでゆく。
完成したコーヒーをカップに移すと、花のように繊細で、ふわりと優しい薫りが立ちのぼる。
「40代、50代の男性に好まれる方が多いようです。ロマンスグレーのお客さまが、花っぽい感じでいいね、なんて言ってくださったり。男性の方が繊細ということでしょうか(笑)」
お次は、ボリビアのメルガール。同量の豆を使い、コーヒーを抽出する。
ケニアとは明らかに違い、こちらはシンプルでストレート、力強い印象。ぐいぐい引っぱってくれるような頼もしさと、豊かな包容力。それは、女性が求める男性の魅力にも重なっているような…。
「異性に対する理想がコーヒーに反映されると…。そういえば、以前女性バリスタもボリビアが好きだと言っていたことがありましたね。プロでもそう感じるんですから、その話も信憑性があるかもしれませんね」と、都築さん。
まずは基本を身につけ、その上で自分好みの味を探し出すこと。微妙な淹れ方の差や豆の違いと、仕上がりを左右するポイントは多い。コーヒーの旅は果てしない。幸せな一杯を求め、道程はさらに続く……。
猿田彦珈琲
東京都渋谷区恵比寿1-6-6 tel 03-5422-6970 営業 8:00~24:30(土・日・祝日:10:00~24:30)