基本編・応用編と二回に分けてお届けしてきた恵比寿「猿田彦珈琲」直伝、スペシャルティコーヒーのドリップ講座。連載第7回を迎える今回は、遂に実践編に突入! 講師はもちろん、ロースターの都築尚徳さん。果たして、あの薫り高い味わいを再現することができるのか……。
「猿田彦珈琲」のロースター・都築さんに教わってきたドリップのhow to。
基本編・応用編とひと通り手順を習ったので、いざ実践!
「コーヒーも自分で淹れるとなかなか面白いものですよ」と、都築さん。
300ccのお湯に対し、今回使用する粉は20g。抽出時間はおよそ2分に設定することに。
ケトルでお湯を沸かし、フィルターにコーヒーの粉をセット。粉を軽く振り、コーヒーの層を平らにならす。タイマーを2分に合わせたら、いよいよスタート!
まずはケトルのお湯を粉の中央に少量たらし、20秒ほど蒸らしたところで、フィルターのふちにあたらないようゆっくり注いでいく。
「もし可能なら注ぎっぱなしにしてください。お湯の線の太さを一定にする感じです。同じところだけでなく、お湯を動かしてあげましょう。のの字を書くと注ぎやすいと思います」
まさに、見るのとやるのとでは大違い。一定のペースで注ぐというシンプルな作業、これがなかなか難しい。目指すは2分で300cc。しかし、この「お湯を注ぐ」という慣れない作業に精一杯で目盛りを確認する余裕がない。焦っている間にアラームが鳴り、あっさりタイムオーバー。2分って、想像以上に早いんですね……。
「スタッフも最初の内は、え、早くないですか? って驚きます。でも、慣れるから大丈夫! 余裕ができると、自分の中にリズムがつくれるようになりますよ」
淹れたてのコーヒーをカップに移し、いざ味わってみるーー。うーん、なんだか薄くて物足りない。同じ豆を使っているはずなのに、都築さんが淹れるコーヒーとは明らかに違う。
「やはり抽出時間のムラが味にあらわれてしまっているようです。最初の注ぎが早すぎると薄い液体が落ちてきてしまうので、始めは気持ちゆっくりと。ただ粉が持つコーヒーの成分自体は限られているので、ずっとゆっくりのままだと出がらしのような味になる。その加減が難しい。お客さまが家でコーヒーを淹れたとき、あれ、同じ豆なのにお店と違うぞ? と感じるのは多分その差だと思います。そこが手強いところでもあるし、楽みのひとつとして捉えてもらえたら嬉しいですね」
微妙な淹れ方の違いが、仕上がりに大きな差をつける。言い変えれば、工夫次第で思い通りの味わいにできるということ。実践して改めて気付いた、ドリップの奥深い世界。あの幸せな一杯を目指し、コーヒー修業はまだまだ続く……。
猿田彦珈琲
東京都渋谷区恵比寿1-6-6 tel 03-5422-6970 営業 8:00~24:30(土・日・祝日:10:00~24:30)
*今回使用した豆は猿田彦フレンチ、恵比寿ブレンド、東京 in the HOUSEです。