—こちらのショップでは世界各国のエレメントが織り込まれていますよね。銀座店には鳥かごから様々なところへ羽ばたいて行くというテーマがありましたが、青山店のコンセプトはどのようなものでしょう?
クリスチャン「店舗をデザインするときにはその周りの雰囲気やものを少し反映した要素を取り入れたいと思っています。青山店では日本の要素を所々に取り入れています。日本人は美術や芸術を細部までじっと眺めている印象があります。そこで、シンボルとなっている赤いカーペットを、他の店とは異なる、幾何学的模様のパターンにしました。2つ目には、私はフランス人ですが、フランス人から見た日本というと『折り紙』のイメージがあります。石の部分の什器もベースは石であるけれど、そこから折り紙のイメージが出来るように建築家のエリック・クラウと一緒に話し合い作りました。3つ目は、谷崎潤一郎の『陰影礼讃』に出てくるような、陰が幾層にもなっているというようなイメージをもたせたかった。そちらの鏡を見て頂きますと、実は向こう側も見えますし、暗くなっていて普通の鏡と雰囲気が違います。光が何層にも重なっているというのがフランス人から見た日本の照明のイメージなのです。
メンズシューズはパリに1号店があり、そこは日本風のデザインがなされています。しかしここは日本ですから、あえて逆にしています。タトゥーの写真が飾ってありますが、これはアメリカのタトゥーで、アメリカっぽいイメージを醸していますよね。パリ、NY、LA、ミラノのショップでは好きなタトゥーや手紙、絵、名前などのイニシャルでも、何でも皆さんがしたいように靴に刺繍を入れることができます。皆様のイメージしたデザインを写真に撮り、ルサージュ社と共同でオリジナルのシューズを作ることが可能なシステムです。青山店では今の所、そのシステムの予定はないですが、今後はまだわかりません。そのように、あえて日本とは異なるアメリカの雰囲気を入れたのです」