イタリア・ローマを代表するラグジュアリーブランド フェンディ(FENDI)は、2024年1月25日(木)午後2時30分(フランス現地時間)、アーティスティック ディレクター キム・ジョーンズ(Kim Jones)とアクセサリー アーティスティック ディレクター シルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)、そしてジュエリー アーティスティック ディレクター デルフィナ・デレトレズ・フェンディ(Delfina Delettrez Fendi)によるフェンディ2024年春夏クチュールコレクションを発表した。
「僕は、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が抱いていたフェンディのフューチャリズム(未来主義)について考えていました」とクチュールおよびウィメンズウェアのアーティスティック ディレクターを務めるキム・ジョーンズは語る。「このコレクションでは、身体、シルエット内のシルエット、人物、そしてクチュールの手仕事が、未来の中心にヒューマニズムを据えています。構造と装飾をテーマとし、この二つの要素は不可分に結びついています。僕は精密さと情緒を同時に表現したいと思いました」
今シーズンのクチュールコレクションでは、詩情と現実との間で交わされる対話が続いている。「コスチューム」を避けて、実用主義を謳う本コレクションは、刺繍職人から仕立て職人、パタンナーからレザー職人、ドレスメーカーからファー職人に至るまで、フェンディ アトリエの卓越した職人技を駆使して、シームレスに実現された合成作品とも言える。クチュールを身につける人に対するフェンディのアプローチは、その人の人間性を再認識させてあげること。何故なら彼らは単に「何か」ではなく、「誰か」であるからだ。
幾何学のシンプルさからクロコダイルの原始的なチャームに至るまで、「人間のフューチャリズム」がコレクションを貫き、過去の恒常性を結びつけて、現在と未来を作り上げる。このようにして構造は装飾になり、装飾は構造へと変化していくのだ。
本コレクションは、箱を意味する新しい「スカトラ(Scatola)」シルエットから始まり、そのシルエットで終わる。フルー(軽く広がったデザイン)の精密な幾何学的なパターンカッティングが、シルクのガザールのようなファブリックで軽さと構造を持つまったく新しいボリュームを生み出した。タイユールは、厳格なカットを通じて女性の体の線に従いながら、伝統的な男性のテーラリング生地であるスーパーキッドモヘアを使用して着用者を人間工学的に包み込む。最高級カシミアとビクーニャ糸で実現された、リブ編みのドレスは、シルエットに不可欠な「シバリ(Shibari)」結び目のハーネスで優雅に包まれている。しなやかなクロコダイルは、本能的な引き寄せを発揮しながら、衣類とアクセサリーを含むコレクション全体に広がる。このような異なるアプローチのひとつひとつが、軽さ、しなやかさ、動きやすさなど、まるでダンスを踊るかのように最適化されているのだ。
集中的に作られた刺繍の数々において、装飾と構造はコレクションの中で真に絡み合い、ほぼ未来の肌として現れる。最も驚くべきことに、刺繍の中で自然と人工の世界のDNAが接合され、切り刻まれる瞬間が訪れる。例えば、新しい形状のフェザーのようなオールオーバーフリンジの見た目は、まるで新種のファーのように現れる。有機的な形状でありながら、厳格で繊細な手刺繍によって超軽量かつ流動的な輪郭が描かれ着用者とともにしなやかに動く。
昨シーズンは「クチュールアンサンブル」というアイデアがファインジュエリーにも拡張したが、本コレクションにおいてはファインジュエリーが「貴重な実用品」の領域に入って行った。ジュエリー アーティスティック ディレクター デルフィナ・デレトレズ・フェンディがデザインした高級アイウェア「シンギュラー ビジョン(Singular Vision)」は、顔のスキャンによって計測されたサイズをもとに、その人に合うアイウェアの構造を18Kホワイトゴールドとホワイトダイヤモンドで作られている。これらは、サングラスや眼鏡あるいは装飾品として使うことができる。
この「貴重な実用品」の概念は、コレクションのバッグにも拡張されており、一連の特注の「バゲット(Baguette)」バッグが登場。衣服の素材と響き合うように、アクセサリーおよびメンズウェア部門のアーティスティック ディレクター シルヴィア・フェンディのアプローチは、ミンク裏地を施したしなやかなクロコダイルから、フリンジや流れるような刺繍まで、ナノからラージサイズに至る「バゲット」バッグを豪華でパーソナルなアイテムとして捉えている。
ランウェイには、高度な職人技と貴重な素材を使用した「フェンディ ジェムズ バゲット(FENDI Gems Baguette)」バッグをはじめ、18K ホワイトゴールドのハードウェアとホワイトダイヤモンドのパヴェが散りばめられたバックルとクロコダイルにプラチナ箔が施された「ミニ バゲット(Mini Baguette)」バッグも登場。
ショーのサウンドトラックでは、作曲家マックス・リヒター(Max Richter)による楽曲が使われ、「精密さと情緒」というキム・ジョーンズの思考がその音楽に反映されている。
さらに、会場には韓国のガールズグループ「TWICE(トゥワイス)」、そして「MISAMO(ミサモ)」のメンバーとして世界で活躍する日本人ミナ(MINA)が特別に参加した。
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