Courrèges(クレージュ)がパリメンズファッションウィークにて2024年秋冬メンズ&ウィメンズ・プレコレクションを発表した。アーティスティック・ディレクターのNicolas Di Felice(ニコラス・デ・フェリーチェ)は、テーラードなシェイプと優れたファブリックの正確さにより、官能的なアプローチを排除し、フォーマルな機会で身体の露出を探求した。
過去のコレクションを自然に進化させた今シーズンは、彼の多彩なビジュアル・レパートリーを垣間見ることができる、さまざまな登場人物たちによって具現化されている。倒錯的なブルジョワーズから行きずりの船乗り、そしてレザーを着た若い男女、ポストパンクまで、それぞれの原型は、正確さと破壊のバランスを取ったビジョンの二面性を反映している。このコレクションは、メゾンの大胆な伝統と、Di Feliceのアンダーグラウンドなフェティッシュの個人ライブラリーの両方を参照し、私的な欲望を公然と表現することについての研究としているのだ。
プリンス・オブ・ウェールズのスーツコートと、身体の意思によってジップを開閉するペンシルスカートのプリミティヴなアウトラインから物語は始まる。スリット入りのオープンスリーブは、2023年秋冬の重要なディテールを新しくし、へその下に配置されたジェットポケットは実用性に大胆な演出を加える。今シーズンのスタイルは、コンバーチブル・ジャージ・タンク、リブートされたビニールやクレープのクラシックなアイテムが、コンテンポラリーなボリュームやHolyバッグと組み合わされ、有機的なユニセックス・アプローチに従っている。2024年春夏のランウェイで初めて登場したこの新しいハウス・クラシックは、マイクロサイズからマキシサイズまで、カラーとファブリックのバリエーションを見ることができる。
物語が進むにつれて、一連のドロップフロントのパンツが、映画『Querelle(ケレル)』のような船乗りを想起させる。それは、制服を着た少年たちが夜をクルーズして織り成すファンタジーの物語。清楚な第一印象を超えて、今シーズンのシルエットは触れたい、自由に駆け巡りたいという欲望を表現している。ポロシャツやドレスは、肩にかけて開いたままにされ、ゆるやかな意図を示す。深く開いたネックラインや切り裂かれたボディスは、一時の出会いに心を開き、毛皮の裏地がついたウィンドブレーカーは、コレクションの感覚的な質を高める。凍りついた仕草からぎこちない折り目まで、形は脱ぐこと、自分を世界にさらすことのプロセスを儀式化しているのだ。
1960年代のハウスのアーカイブであるニットのバラクラバと、身体を光り輝くトウモロコシベースのラテックスで包むことで、性的解放の知られざる歴史がほのめかされている。Genet(ジュネ)の言葉に倣えば、「暴力とは、あなたをかき乱す平穏である」。水平に裂け、その金属的なフレームからは憧れのまなざしが現れ、さらなるものを求めている。「Encore!(アンコール!)」と手招きし、私たちを親密な安らぎから引き離し、互いの抱擁の温もりを歓迎している。
Courrèges | クレージュ
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