ルックブック形式での発表に注力したJOHN LAWRENCE SULLIVAN 2022年秋冬コレクション。商業的なアプローチではなく、滲み出るアティチュードまでをも表現した今シーズンのテーマは「DECADENTS」。記号的に扱われがちな退廃的なファッションエレメントを投入するのではなく、道徳や健全さが失われることから創出される耽美を服に投影させたコレクションに。
JLSが追求し続けてきたクラシックなテイラリングの概念をあえて崩していき、そこから生まれたクラウチングなシルエットの数々。デカダンスな考え方を服作りにも丁寧に踏襲し、既存のものを崩していく過程から生まれた重厚感のあるシルエットは今シーズンを代表するもの。前見頃は狭く、反対に背中の分量を増やし、スリーヴは長めに設定。エポーレット、肩線、ボタン位置やフラップなどは前下がりに配置させることで、シルエットをより強調させた構造に。素材感にもまた退廃的な美徳が見て取れる。毛玉のような質感のナッピング加工、髪の毛のようにも見えるシュタイフのファー、糸飛びをさせたジャカード……。 フラットでクリーンな服とは一線を画すそれらは、どこか荒々しくも美しい表情をのぞかせる。
複数の芸術家たちから着想を得たピースも数多く見られる。日本人アーティスト塩田千春や佐藤貢が創り出す作品からインス パイアされ、ネットで包んだようなMA-1ジャケットや5ポケットジーンズ、YOSHiKO CREATiONとのコラボレーションにより 釘モチーフを取り入れたアクセサリーを制作。また19世紀に活躍したフランスの詩人、シャルル・ボードレールの詩を大胆に プリントしたシャツや T シャツ、スウェットなども登場する。
ファイアーマンコートのバックルを移植したニットやジーンズ、ジップとVibramソールを搭載したシューズ、ミリタリーなムードを スティッチングでプラスしたピークドラペルジャケットなど、新たな試みが随所に潜んでいる。デザイナー柳川荒士自身が常日頃から好んでいるそうしたインダストリアルな要素をも取り入れ、退廃的な中にもJLSらしさをも存分に表明してみせている。
PHOTOGRAPHER: SHUNYA ARAI
STYLIST & PRODUCER: MASATAKA HATTORI
HAIR: NORI TAKEBAYASHI
MAKE-UP: UDA
PRODUCTION: HATTORI PRO.