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現代/過去の暮らしの中で 着物の佇まいに宿る情緒を AI(機械学習)の力を借りて顕在化。“うつつ=現つ/虚つ”




“うつつ=現つ/虚つ”
かつての日本のあたりまえの暮らしは、着物と共にあった 。
千年以上も日本の暮らしに寄り添う、ただの“着る物”という文字通り羽織って結べば誰でも纏える着物が、たった数十年で自分たちの日常から掛け離れてしまった要因は単に生活の変化だけでは無いはずだ、と僕は思う。
機能が優先される味気のない現代の生活に、この情緒溢れる、エコロジーな装いをシームレスに繋げられたら。どんな美しい“佇まい”が宿っているんだろう。
コレクションの舞台は、茶室を起源とし、現代の住まいにも通じる四畳半の部屋の中。
この部屋を舞台に、芸者/モデルが髪を結わえ 、着替え 、日々を暮らす佇まいを、ヘアメイク/フィッティング/コレクションに見立て、ショーとして表現する。
着物が当たり前に存在した 、過去の所作を表現するモデルは日本で最大の流派を誇る日本舞踊花柳流師範、“花柳 凛”。 当時の芸者の着こなしを再現した。
着物に全く触れていない、今の所作を表現するモデルは現代のアイコン 、“ モトーラ世理奈 ” 。
戦後人為的に生み出された厳格なルールではなく、本来の自由な着物の着こなしを目指し、着物が当たりまえに存在し続けている世界線に想いを馳せ、時代に応じたトレンドがシームレスに繋がるよう錚々たる日本人デザイナーのvintageアイテムと共にコーディネートした。
それぞれの時代に応じた2人の所作を (別の世界線として断絶することなく)今と地続きに繋げるため、“ittan” のディレクションによるAI(機械学習)で両者をシームレスに接続した。
この接続は、今や人間の知性とは別方向の進化を遂げつつある AI(機械学習)の力を借り、過去も現代も変わらない着物の“佇まい”の情緒を映像として顕在化させた一つの結果である。
世界的な脅威であるCOVID-19の拡大により、大きくファッションも変容した。
新しさを求め、速さを競い 、短期的な消費を過剰に促すファスト・ファッションの時代はとうに終わり、社会を形成する様々な物事を長期的な視座で捉える、サスティナビリティが重視される昨今。
今こそ過去を見つめ直し、伝統文化を持続可能にする、ファッションの可能性に手を伸ばしたいと思う 。
いつだって過去は“前”にある。






夜着について 安土桃山時代~江戸時代に用いられていた掛け布団の前身。
襟や袖を伴う、着物の形状をした“衣服”と“寝具”の中間型 。 YOGI
“夜着”をコンセプトに着物と同様のパターンを用いて製作したルームウェア“TAKARA TSUKUSHI”




TAKARA TSUKUSHI
[生地]
オーガニックコットン:84 %、絹:16 % 縮緬((ちりめん)
[製法]
対丈
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
[コンセプト]
福を招き長寿をもたらす“鶴/亀”など 、縁起のよいものを一同に集め、願いを叶える吉祥文様“宝尽くし柄 ”をモダンに表現しました。豊かな眠りへの祈りを込めて。



RIBBON
[生地]
オーガニックコットン:84%、絹:16%縮緬(ちりめん)
[製法]
対丈
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
[コンセプト]
様々な柄を束ねた華やかなリボンで、古典柄の代表格でもあり、長寿の象徴でもある“ 束ね熨斗(のし)柄 ”を表現。健やかな眠りへの祈りを込めました。



YUME
[生地]
オーガニックコットン:84 %、絹:16%縮緬(ちりめん)
[製法]
対丈
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
[コンセプト]
江戸時代末期の語呂やなぞかけを使った言葉遊び“判じ絵”をモチーフに、包み込むような柔らかなリボンを書に見立て、一筆書きで“夢”を表現。端々には“邪気”を払う謂れのある荘厳なフリンジを施し、心地よい眠りへの祈りを込めました。



HITSUJI
[生地]
オーガニックコットン:82% 、麻:18%縮緬(ちりめん)
[製法]
対丈
草木染め
手捺染(シルクスクリーン×手刷り)
[コンセプト] 「金、銀、水晶、瑠璃(るり)、瑪瑙(めのう)、珊瑚(さんご)、
硨磲(しゃこ)」の七種の宝を意味する“七宝文様”を”羊” に見立て、背一面に表現しました。羊を一匹、二匹と数える様を“一~正”の画線法(数え数字)として着物全体に捺染し、安らかな眠りへの祈りを込めました。
参照:kozaburo Tamamura
“RIBBON”
“YUME”
参照:Tokyo National Museum
“HITSUJI”
参照:National Museum of Denmark



ファッションディレクション 山口壮大
1982年、愛知県 常滑市生まれ。文化服装学院卒(第22期学院長賞受賞)。 2006年よりスタイリスト、またミキリハッシン ディレクターとして活動開始。 2012年渋谷PARCOに次世代型セレクトショップ「ぴゃるこ」をオープン。 2015年にはKANSAI YAMAMOTOのクリエイティブディレクションを担当。


AIディレクション/空間デザイン ittan
AIアーティストの岸裕真、空間作家の芳賀健、アートディレクターの中山直人で結成されたアーティストユニット。機械学習や3Dシミュレーションを用い、人とテクノロジーの強固な繋がりを崩す作品を 主に制作している。VOGUE Italiaに掲載されるなど国内外問わず活動中。

ムービーディレクション maxilla
maxillaは東京を拠点とするクリエイティブエージェンシー/ビジュアルプロダクション。ブランドの戦略立案からCM・MVといった映像をはじめ、アートワ ークやWebの制作、舞台演出、インスタレーションにおけるシステム開発など、固定のアウトプットに拘ることなく、様々に情報をデザインしている。


スチルカメラマン/ライティング TOKI
男女2人で活動する写真家。 光線と柔らかい光を組み合わせた幻想的な写真は、国内外から高い評価を受けている。


音楽 塩塚モエカ
羊文学のボーカル/ギター。2017年『トンネルを抜けたら』でデビュー。ソロ活動では、羊文学とは異なる楽曲を弾き語りで演奏。また音楽以外でも、ファッションブラ ンドや広告でのモデルを務めるなど活動の枠を拡げている。


モデル(過去) 花柳 凛
舞踊家。日本最大の流派“花柳流”師範。豊かな表現力と、古典を重んじた繊細かつ伸びやかな技術でジャンルを超えて活躍している。


モデル(現在) モトーラ世理奈
2015年、雑誌「装苑」にてモデルデビュー。 数多くのアパレルブランドやファッション誌の表紙を飾る。 2016年11月にリリースされた、RADWIMPS「人間開花」アルバムジャケットに起用され、話題となる。 2017年、映画「嵐の季節だね」主演。映画「少女邂逅」では約200人のオーディションから選ばれ主演を務めた。


ヘア&メイクアップアーティスト 計良宏文(資生堂)
資生堂トップヘアメイクアップアーティスト。豊かな表現力と圧倒的な完成度で、多くのトップクリエイターから支持を集める。ヘアメイクの概念を刷新する活動で日本初の公立美術館での個展も開催。


着付け 大竹恵理子
長沼静着物学院にて、一般的な着付けを始め、 花魁などの時代衣裳、白無垢などの婚礼衣裳まで、様々な着付けを学んだ後、着物屋くるり入社。
以降7年間、くるりのスタイリング・着付け全般を担当。 独立後、フリーランスの着物スタイリスト、着付師として、広告、CM、雑誌などの媒体を中心に活動中。

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