冥界に流れる炎の川、PHLEGETHONをテーマにしたRick Owens SS21 Women's Collectionneol.jp

Rick OwensによるSS21コレクション「PHLEGETHON WOMEN’S」が10月1日ヴェネツィアにて行われた。
Rick Owensは語る。
「私は夏を、トーマス・マンの中編小説『ヴェニスで死す』の舞台となったヴェネツィアのリドで過ごします。主人公である作家は自身の作品に熱心に取り組んでいるものの、若さへの執着を加速させ、老化に争って流行りの染毛剤を顔に垂れ流しながらコレラのためにビーチで逝去します。
「検疫」という言葉は、腺ペストに対するこの地域の中世の頃のレスポンスに由来しています。

このウィメンズのランウェイショーは、THE LIDO CASINÒの前のPALAZZOで開催されます。1930年代の記念碑的なラショナリストであるパラッツォは、私がビーチに向かう途中で毎日歩いて崇めていた場所です。私たちのファクトリーから2時間離れたこの場所で、親密なイタリアのデザインクルーとともに、オーディエンスなしでデジタルショーを行うというのは、こじんまりとして快適で、信頼に足り、同時に華々しく壮観であるという様々な気持ちが湧き上がってきます。
前回の秋冬のランウェイ「SHOULDER-FREAK-OUT」はパワーについてではなく、反抗について語ったものでした。脅威に直面した際の抗いについてです。 BLACK GRAIN DE POUDRE TAILORINGは、巨大なショルダーから袖をはぎ取ったオーバーサイズドなもの。ストラップは、着る人がジャケットを剥ぎ取り、ビーチの忙しなさの中でウエスト周りを締めることを可能にします。SATIN RIB WAISTED BOMBERSは、中指を運命のように誇張します。
私はただ、脅威と恐怖の底からインスパイアされる燃えるような紅のテイストに傾倒しているかもしれません。バブルガムピンクとアラームレッドのサイハイブーツとレザーのマイクロショートカットオフはガーリッシュな雰囲気を加えるけれど、マイクロショーツはシンプルなジャージーでハンディポケット付きのウエストをマークするベルトにもトランスフォーム。
また、文明を感じさせるアーキテクチャラルなコットン・ポプリン・チュニックと、ウールとコットンのポプリンで形作れたケープとマントルを備えたローブ。トレーリングギャザーリボンのチュールジオラッフルの厳格なラインを備えたシルクシフォンの服は、恐ろしいような華やかさを加えます。
このコレクションで使用されている革のほとんどは、私たちが“ダブルバター”と呼んでいる0.8mmの厚さのナポリで製造されたジューシーな二重面の革を含め、最小限の裏地なしの構造で二重面になっているものです。

シフォンとクレープにナポリアイスクリームのストライププリントを施し、ニットにまで広げました。これらのニットは、バナナのように二重に上下に剥がれ、自由に覆ったり露出したりします。
FW12の“MOUNTAIN”で使用されているマスクから、網タイツ状のタンクドレスとパーカーの一群が開発されました。
ジャケットととショーツは、リサイクルされたプラスチックから私たちのためにカスタムメイドされたスパンコールで表面を覆われたストレッチデニムでできています。
このウィメンズの春夏コレクションは、いつものように、メンズと同じタイトルを共有しています。「フレゲトーン」は、ダンテの神曲で説明されているインフェルノの川の1つであり、地獄の中心部を離れることはありません。
長年の音楽コラボレーターであるJEFFJUDDが10年前にリミックスしたDONNASUMMERの“IFEELLOVE”のサウンドトラックを使用しました。この曲はいつも私のためにアンセムを再構築し、安定させてきましたが、ここでは、この瞬間にぴったり合って、Kホールに落ちるように暗くてデリシャスになります。著作権の制限により、YouTubeに投稿することができなかったため、代替バージョンを投稿する必要がありました。しかし、ドナはリドでのライブショーのために一生懸命でした」