ハマ「あのとき、ちーちゃん(佐藤千明/赤い公園のボーカル)は全然話したことないのに、いきなりフィリピン人の体で話しかけてきて(笑)」
津野「そうだった(笑)」
—やりそう(笑)。
ハマ「カメラを回してインタビューするみたいな設定で、いきなり廊下から来て。僕もちゃんと話したことがない中で、とりあえず乗っかって5分くらいフィリピン人と話したんですけど(笑)。で、一通り終わったあとに『初めてちゃんと話すよね』と。そんななか、NeoLの連載の対談相手を誰にしようかずっと考えてたんですね。ちょうどアルバム(『Let It V』)も作り終えて、取材などで大口叩くモードに入っていたときに同世代のバンドの話もよくしていたので、対談相手は米咲ちゃんがいいんじゃないかなと思って」
—ハマくんが思う赤い公園の音楽の面白はどんなところですか?
ハマ「他の同世代バンド——黒猫(チェルシー)やThe SALOVERS、ねごとなどは初めて聴いたときにルーツがわかったんですよ。こういうところがエッセンスとしてあって、こういうことがしたいんだなというのがなんとなく理解出来たんですね。そこでいいなと思うのは、俺らが通ってきてないところを彼らは通ってきてるから。そこを黒猫やSALOVERSに教えてもらう感じがあったんです。でも、赤い公園は何がどうなって音楽をやってるのかわからない集団で(笑)」
津野「あはははは」
—バンドの存在自体が不可思議っていう。
ハマ「そうそう。個人的にバンドは音楽はもちろんなんですけど、キャラクターが好きになれないといいなと思えなくて。曲を聴いても気になるし、人となりが知りたいから赤い公園のインタビューも読んでいるのですが、わからないんですよね。言ってることは理解出来るけど『なるほどね』というところまではいかない。そこがすごくカッコいいなって」
津野「褒められてるのか……?(笑)」
ハマ「褒めてる、褒めてる。他の同世代バンドは影響を受けたものがストレートに出ていてわかりやすいんだけど、赤い公園は『何年やってんすか?』っていう印象を受けるんだよね」
津野「でも、そう言われてなるほどな、と思うところはあって。地元の立川でライブをやっているときに、それこそルーツがストレートに出てる人たちとよく対バンしていて。私たちは演奏もうまくないし、なんかしなきゃと思ってたのね。私はもともと作曲家だったお父さんの影響を受けていて、すごく音楽が好きで、もともと嫌いなジャンルとかもないし、いろんなものを聴くけど、あえてルーツが見えないようにしてたんですよ。いろんな要素が混ざり合ってるような曲を作りたいなって。それは『周りとは違うんだぞ』という簡単な意地みたいなところもあったけど、OKAMOTO’Sのニューアルバムを聴いたときにすごくカッコよくて」
ハマ「ありがとうございます」
津野「あのアルバムを聴いて思ったのが、ルーツがいくつか見えるじゃない?」
ハマ「うん、そうだね」
津野「ずっとルーツが見えることがダサいと思ってたけど、そうじゃないんだなって思った。こだわるべきはそこじゃないんだなって。いい曲はいい曲なんだってことをOKAMOTO’Sのニューアルバムに教えてもらったというか」