フィジカルには距離を置かねばならない現状に際し、アイデアや情報のシェアでポジティヴに自宅での時間に向き合うための「Self Isolation」特集。アーティスト/クリエイターによるいまの状況への向き合い方やオンラインで楽しめる情報などを随時アップデートしていく。パリを拠点とするフォトグラファー/アーティストLucas Charrierは、今回のNeoLのオファーに、自宅をテーマに、ロックダウンの最中にある自身の状況をアートとして表現することを試みてくれた。映画作りを志す彼はまた、今観るべきオススメの映画リストも送ってくれているので、ぜひチェックしてみてほしい。(→ in English)
«家の中は常に「私的な」場所であり、その場所は住んでいる人の生活の中でも最も親密で個人的な出来事の目撃者である。 …これらすべての写真にある、柔らかく落ち着いたライティングは、家に関連する、守られているような甘い感覚を示唆しています。…私はこれらの写真を、自分自身を象徴するものではなく、自身を象徴する行為と捉えています。 »– Luigi Ghirri、Identikit
これらの写真に関して:
私は快適さや落ち着くという感覚をキャプチャしようとしました。ベッドは暖かく快適で、私が住んでいる小さなスペースのほとんどを占めているので、写真を撮るのは必然でした。白いシーツと毛布は、この避難所に穏やかなイメージを付与しています。ベッドはまた、夜、私が眠りにつく前に、自分のプロジェクトについて考えるのに最も時間を費やした場所でもあります。この引きちぎれたバッグに毛布が包まれた(折り畳んでベッドの下に置いてソファとして使用します)写真は、外出できない状態であること、ゆっくりと悪化していく様、静かな不安と外出したい気持ちを抑圧されているということを楽しく表現したものです。自分のアパートにあるものをクリエイティヴにする方法を見つけるのは面白かった。ベッドと毛布を使ったということは、自分が小さな空間でどのように暮らしているか、物質的な生活をどのようにオーガナイズしているかについても多くを物語っています。物理的に閉じ込められている今は、そこにさらに注意を向けていきたいと思います。
ーー新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で生活、クリエイティヴ、ビジネス、それぞれの面でどのような影響が出ていますか。
Lucas:いくつかの撮影が延期になり、外出が制限されている今ではただ家にいるだけです。
ーーこの側面で新たに気づいたこと、心がけたいことがあれば教えてください。
Lucas:この事態になって人同士の繋がりが強くなったと感じています。他の人の寂しさにより敏感になっていますし、ロックダウンが解けた後にも長らく会ってない人に電話をかけ続けたい。以前のように家にいるのではなく、もっともっと外で働きたいと思うようになりました。
ーーロックダウンへの精神的、物理的対応があればお聞かせください。
Lucas:私は家で過ごすことに慣れています。「何もしていない」と一部の人は思うかもしれないけど、私にとって自宅での時間は非常にアクティヴなもの。本を読み、文章を書き、映画を観て、作りたい映画について考えます……これらすべての“活動していない”というのは、作品を完成させるのに欠かせないくらい大切で、非常に抽象的なクリエイティヴの過程なんです。
ーーご自身の活動を鑑みて、室内でどのような創作が可能だと思いますか。
Lucas:文章を書けるし、本を読めるし、電話でプロジェクトについてやコラボレーションについて話し合うこともできますね。
ーーオンラインの活用方法や1人でもできる施策など、良いアイデアがあればシェアをお願いできますでしょうか。
Lucas:観る、聴くのに良いのはーーA24のポッドキャスト、Le Cinema Club(短編映画の鑑賞に最適なウェブサイト)、Blow-Up(フランス語とドイツ語で放送されるテレビ局Arteのウェブマガジン)、NHKのウェブサイトでの宮崎ドキュメンタリー4編はとても魅力的でエキサイティングでした! それ以外は、The Criterion Collectionを購読するのがオススメ。無料ではありませんが、間違いなくそれだけの価値があります。チェックするタイトルはこんな感じです。Edward Yangの3作品(Yi Yi、A Brighter Summer Day、Taipei Story)、Cheのパート1とパート2、The Fits、Carlos, Secret Sunshine、Adaptation、Andrea Arnoldの作品、Alice Rohrwache、Kelly Reichardt、Jane Campion、Mike Leigh、Satyajit Ray、Louis Malle、Wong Kar-Wai などなど、他にもたくさんあります。
ーー新たにチャレンジしてみたいことはありますか。
Lucas:短編映画の脚本を書いて、もっと早起きして、もっと積極的に活動したいです。
ーー事態が好転し、COVID-19が収束したらしたら何をしたいですか。
Lucas:友達に会う、旅行、そしてたくさんの写真を撮る!
ーー政府の施策は満足できるものだと思いますか。もしNOであればどのようなことを提案したいですか。
Lucas:この尋常じゃない状態の中で、誰もが最善を尽くしていると思います。全体的なムードはより連帯に向かっているように見えますが、最も支援が必要とされている病院や人々のためにもっと多くのことができると思います。家がない人もいるので、経済にも目を配るべきですね。優先順位を正しく設定できているというには、まだいくつかの問題があると思います。
ーー自主隔離中にオススメの映画は?
Lucas:Sofia Coppola『Lost In Translation』、Edward Yang『Yi Yi』、Kelly Reichardt『Wendy and Lucy』、Jane Campion 『The Piano』、Michael Mann『Heat』、宮崎駿『千と千尋の神隠し』、Sofia Coppola『Somewhere』、Mia Hansen『Goodbye First Love』、Gus Van Sant『Milk』、Wes Anderson 『The Darjeeling Limited』
Lucas Charrier
French photographer and film critic based in Paris
URL https://cargocollective.com/lucascharrier