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フィジカルには距離を置かねばならない現状に際し、アイデアや情報のシェアでポジティヴに自宅での時間に向き合うための「Self Isolation」特集。愛、パーソナルな記憶、女性であること、そしてより広い社会問題を中心とした実験的なフィルムやビデオインスタレーションを制作する映像作家/アーティストのUMMMI.。日本、アメリカ、イギリスに住んでいる間に得られた個人的な観察、生きた経験、視点から物語を紡ぎ、ドキュメンタリーとフィクションの手法を組み合わせ、国内外で広く評価されている。現在はイギリスをベースとして活動している彼女は、ロックダウンが続く中、自身の生活とクリエイションをどう眺めているのか。
ーー新型コロナウィルス感染症（COVID-19）で生活、クリエイティヴ、ビジネス、それぞれの面でどのような影響が出ていますか。
UMMMI.「仕事がほとんどなくなってしまったせいで、今までは仕事のおかげで若干だけ存在した生活のリズムが完全に消えてしまった。眠りたいときに寝て、起きたいときに起きて、食べたいときに食べて、夕方になったらお酒を飲んでっていう生活をしちゃってる。信じがたいほどの怠惰。せっかく家にいるんだから制作をすればいいんだろうけれど、これからのお金のことや社会状況が心配すぎて、しばらくの間それどころじゃなかった。求人を見て1日を潰してしまったり。ロンドンは次の月曜日でロックダウン3週間目になる。3週間ずうっと家のなかでただニュースを眺めることしかできていなかったけれど、ここにきてやっと、この世界的なロックダウンのなか自分にできることは何か？いまこの状況で、アタシは何を作るべきなのか？ということをかろうじて考えられるようになった気がする。とにかく現実のインパクトが凄すぎる」
ーーこの側面で新たに気づいたこと、心がけたいことがあれば教えてください。
UMMMI.「日常が続いてゆくことが前提で生活できることは、人間生活のなかでとても重要なことだと改めて思いました。もちろんアタシたちは誰だって死の前を生きているわけだけど、日常ではそれをいったん忘れて、来週はちょっと遠出して湖に行きたいなあとか、金が入ったら寿司が食べたいなあとか、ああはやく脚本を書きはじめなければ、とか思いながら、死なない前提で未来に少しづつ楽しみを散りばめて過ごしている。こんなささやかなことがいままで当たり前のように出来ていたという事実がすごいと思うし、これからもそれが守られるべきだと思います」
ーーロックダウンに向けての精神的、物理的対応があればお聞かせください。
UMMMI.「植物を育てる。日々移り変わってゆくものが家のなかにあるだけで少しだけ明るい気持ちになれる気がする」
ーーご自身の活動を鑑みて、室内でどのような創作が可能だと思いますか。
UMMMI.「日々を記録すること、想像力を働かすこと」
ーー新たにチャレンジしてみたいことはありますか。
UMMMI.「新しくチャレンジしたいことというよりは逆に、自分に何ができるんだろうと改めて考えたとき、よくも悪くも、映像を作ったり文章を書いたり、物を作り続けることしかできないんだと思い知りました。医療機関で働いている人たちはこの状況のなか本当にすごいと思うし、とても尊敬しています。スーザン・ソンタグの日記に書いてあった『もし次の人生があるならば医者になりたい』という言葉の重みを、ここにきてやっと少し理解できた気がします」
ーー事態が好転し、COVID-19が収束したらしたら何をしたいですか。
UMMMI.「パブでひたすらビールを飲んだり、みんなで真夜中の街に繰り出したり、そこらへんの出会った人と適当なキスをしたい」
ーー政府の施策は満足できるものだと思いますか。もしNOであればどのようなことを提案したいですか。
UMMMI.「日本もイギリスも、今すぐすべての人に補償を出すべきだと思います。どちらにせよ世界規模の不況がやってくるのだから、国のお金を出して少しでも多くの人が苦しまないように対策するべき。経済の復興はそのあとでがんばればいい。あとはやっぱり、日本の状況を見ていると何よりも大事なのは教育だなと思います。みんながきちんと政治に参加して、意見を発して生きてゆく。嫌なことには嫌だと言う。政治に参加しないことを悪だと言うのではなく、あらゆる状況に置かれた人への想像力を働かしながら、より多くのひとが政治に参加しやすい土台をアタシたちが作っていくことも重要だなと思います」
UMMMI.
映像作家/アーティスト
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