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text by Ryoko Kuwahara/Shoko Mimbuta
photo by Yudai Kusano

Self Isolation Issue :「高校時代に虐待から身を守るシェルターに住んでいた過去があるため分かることがあるのですが、平常時ですら児童相談所に連絡しても突っ返されてしまうことが多いです。政府には受け入れ体制を整え被害者支援団体が動きやすいよう配慮するなどの迅速な対応を求めます」Maria / How to Survive – Maria




フィジカルには距離を置かねばならない現状に際し、アイデアや情報のシェアでポジティヴに自宅での時間に向き合うための「Self Isolation」特集。アーティスト/クリエイターによる現状への向き合い方やオンラインで楽しめる情報などを随時アップデートしていく。
「真夜中の物語」でNeoLでデリバリーヘルスのキャストとしての生活を語ってくれたMaria(https://www.neol.jp/culture/87959/)は、自身の生活に対する打撃もさることながら、この非常事態に発せられる心無い言葉の暴力や表面化した差別意識に対して心塞ぐ場面が多いという。親からの虐待のためシェルターに逃れた経験から、平常時ですらままならない児童相談所や支援団体の動きがこの有事で鈍化し、被害者が溢れる現状を示唆、強く懸念を示す。
→ in English


ーー新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で生活、クリエイティヴ、ビジネス、それぞれの面でどのような影響が出ていますか。
 
 
Maria「私のお店では 2月に入り海外から来日されたお客様のご利用が全くなくなりました。また出張で都外からいらした一部新規のお客様に『君、コロナ持ってないよね?』と質問されるなど、日本国内での都内に対しての差別やセックスワーカーへの風当たりの強さを改めて感じました。
2月下旬からはお客様の中で自粛される方が増え3月に入ってからは一部のリピーターからの予約があった時のみ出勤していました。3月中旬からは要請はされていませんし、お店自体は自由出勤で出勤できる状況ですが、私もクラスターになってしまうリスクを考え自粛をしました。
収入面では昨年度に比べ2月は60%減り、3月は80%程収入が減っています。目標のための貯金が主な目的で仕事をしていたので辞める事を考え3月末までは転職活動をしていました」
 
 

ーーこの側面で新たに気づいたこと、心がけたいことがあれば教えてください。
 
 
Maria「人への思いやりが明るい未来をつくっていくのだなと思いました。また、今回のことで少しずつ進んでいるように見えた差別問題がまだ日本を含め世界中で根付いていることや、各国の政府の方針が色濃く出たことで分かる日本政府の対応の問題、他にも様々な問題や課題が浮き彫りになったと思います。
この機会に改めて真剣に問題を受け止め、普段から身近な人々と考えや情報を共有していき、全員が生きやすい社会をみんなで作っていけるようにしたいと思いました」


ーーロックダウンに向けての精神的、物理的対応があればお聞かせください。


Maria「しばらくは貯金で暮らしていこうと思っています」


ーーご自身の活動を鑑みて、室内でどのような創作、作業が可能だと思いますか。


Maria「私は風俗産業を辞める方向で考えていて、今は5月の入社までの1ヶ月間は実質無職なので英語の勉強に取り組み始めた程度ですが、他のセックスワーカーの方々は写メ日記という、風俗サイトに載るお客様に向けての写真や文章を書いたり、セルフケアをしてこの状況が落ち着いた時お客様に利用していただけるよう努力をされています」


ーーオンラインの活用方法や1人でもできる施策など、良いアイデアがあればシェアをお願いできますでしょうか。


Maria「瞑想が特に良いなと感じました。自分の考えがまとまっていくととてもポジティブな気持ちになれます」





ーー新たにチャレンジしてみたいことはありますか。


Maria「四国遍路したいです」


ーー事態が好転し、COVID-19が収束したらしたら何をしたいですか。


Maria「友人と気ままに飲食店でご飯を食べ映画館で映画を観てクラブで夜通し遊びたいです」


ーー政府の施策は満足できるものだと思いますか。もしNOであればどのようなことを提案したいですか。
 
 
Maria「一世帯30万円給付の施策が行われますが、条件が厳しく本当に必要な人に行き渡らないのはあってはならないことだと思います。一律10~15万円給付に早急な変更を求めます。
また現在学校の休校、外出自粛、在宅勤務、などの影響でDVや児童虐待が増加、悪化している状況です。
国連事務総長は『すべての国の政府に対し、新型コロナウイルスの感染対策をする際に女性に対する暴力の防止に重点的に取り組むよう求める』と各国に要請し、オーストラリアではDV対策資金として約100億円が投入されています。日本政府にも一刻も早く対策を打ち出してほしいです。
私自身、高校時代に虐待から身を守るシェルターに住んでいた過去があるため分かることがあるのですが、平常時ですら児童相談所に連絡しても突っ返されてしまうことが多いです。私はそうでした。そんな時に助けてくれたのは渋谷にあるNPO法人団体でした。彼らは私にヒアリングをし、一時的に保護をし、児童相談所に取り合ってくれシェルターに入るまでの流れをつくってくれました。メンタルケアまでしてくれました。
あの時ですらあぶれてしまって保護されていない少女が多くいたのに、新型コロナウイルス感染症の影響で増加や悪化していてさらに感染防止のために相談窓口が閉まって打つ術が無くなっている人がいると思うとやるせないし、辛いです。
日本政府には受け入れ体制を整え被害者支援団体が動きやすいよう配慮するなどの迅速な対応を求めます。マイノリティーにも目を向けて施策を行ってほしいと思います」


 
Maria
デリバリーヘルス・キャスト


 
各種相談窓口についての記事はこちら https://www.neol.jp/culture/96424/

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