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「実在する本」から始まるミステリー連作集




ちょっとした気分転換から、深刻な悩み事困り事まで、様々な理由で人は本を求める。そして、紡がれる物語や教養に癒され、元気付けられ、時には大きな意味を見出したりもする。そういう意味で書店は、本と人、両者の物語が交錯する特別な場所と言えるのかもしれない。


そんな、書店を舞台に本と人が織りなすミステリを描いた小説が『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』。


駅ビルの6階にある普通の書店・成風堂で働く杏子と多絵。近所に住む老人から渡された「いいよさんわん」という謎の探求書リストや、コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性、お客さんに的確なセレクトをする正体不明の自称成風堂店員……。本をきっかけに起こる様々な「小」事件は本と人との深い関係を感じられる暖かいものばかり。


作者自身が書店員経験者ということもあり、書店の舞台裏が垣間見れるのも面白い。実在する書籍がキーワードとなる話も多く、普段から本を読む人なら一層楽しめる作品だ。


なお「成風堂書店事件メモ」はシリーズ化されており、本書はその1作目となる。気に入ったのなら是非、他のシリーズ作品もどうぞ。


『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』
大崎梢
東京創元社
682円
Amazon

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