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text by Sunkyung Ahn/Shoko Mimbuta/Ryoko Kuwahara
photo by Ryoko Kuwahara

Can’t live without Books : Interview with Byelcheck/書店特集:別冊付録(韓国・ソウル)インタビュー/별책부록 서점




数多くのインディペンデント系の書店が生まれている韓国・ソウルの中でも、米軍基地の北側、解放区と呼ばれる欧米系のコミュニティーが存在する地域には個性派の書店が増加している。その一つである別冊付録は、海外から輸入されたヴィジュアルブック、丁寧にセレクトされた独立出版、オリジナルのグッズなどが並ぶ書店兼出版レーベルだ。大きなガラス窓から差し込む光を受ける、友人の家のように居心地の良い別冊付録が描くヴィジョンとは。



――米軍基地の北側、解放区と呼ばれる欧米系のコミュニティーがある地域への出店の意図は何ですか。


別冊付録「ヘバンチョン(解放村)は、公共交通機関の利用が非常に便利な地域ではありませんが、地理的にソウルの中心にあり、バスや地下鉄でもう一度乗り換えれば、クァンファムン(光化門)やウルチロ(乙支路)、カンナム(江南)、ソウル駅など、ソウルの多くの場所に広がる所です。 そのためか、多様な文化が共存する地域でもあります。 そのような場所に興味を持ち、解放村で本屋を開くことになりました」



――客層はどのような方々になるのでしょう。


別冊付録「主に20~30代の女性に多く訪れていただいていますが、近年は独立出版に対する関心が様々な年齢層で見受けられるため、40~50代の方々にも訪問していただくケースが増えています」



――日本や英語圏のグラフィックなど他国の書籍も多いですが、選書の基準があれば教えてください。書店の場所も選書に影響はしていますか。


別冊付録「書店の場所は選書に大きな影響を与えてはいません。狭いスペースですが、様々なジャンルの本を置きたくて、洋書も扱っています。 洋書の場合はテキストよりは主にヴィジュアル中心のものを紹介するようにしています」





――独立系の出版物に関してはどのようにしてアーティストを見つけてい流のでしょう。


別冊付録「普段はSNSでアーティストを探して、のようなブックフェアが開かれるシーズンには、フェアに参加してアーティストの作品を見たりしますね。 時にはアーティストから先に別冊付録にメールでコンタクトをくれたりもしますよ」

――近くにも似たようなリトルプレス系を取り扱うStorage book & filmがありますが、互いをつなぐコミュニティのようなものはありますか。どのようにそれぞれ個性を出す工夫をしているのでしょうか。


別冊付録「特にコミュニティはありませんが、独立出版物を扱うという点で連帯感があります。 違う個性を表現しようと努力したというより、時間が経つにつれ、自然とそれぞれの空間が互いに違う魅力と雰囲気を形成するようになったのではないでしょうか。 実際にお互いが少しずつ異なる本を扱っていることも影響していると思います」








――グッズのスペースが広いように思ったのですが、店名である別冊付録は関係あるのでしょうか。


別冊付録「別冊付録という店名は、本と関係のある単語でもあり、ハングルで書いたらその文字がとても可愛いから採用しました。 そして、本を買う時に、思ってもいなかった付録が一緒についてくる楽しさのような、うちの書店で一般書店とは違う喜びを感じてもらいたいという思いも込められています」

――VHSやレコードなどが置かれていたことにも驚きました。再生ツールがないようなクラシックなアートを置く意図は?


別冊付録「ビデオとレコードはスタッフの私物です。でも、興味を持ってくださるお客さんにはたまに販売もしています」





――韓国ではワークショップをしている店舗も多いですが、こちらではどのようなワークショップをしていますか。


別冊付録「本を企画、デザインし、印刷する独立出版の過程全般を学ぶことができるワークショップ、印刷物の制作に必要なプログラムの使い方を学習できるワークショップなど、本に関したワークショップがあり、編み物、ドローイングなど、個人の趣味と趣向を探せるワークショップも開催しています」



――Instagramにて毎日、1冊1冊丁寧に本を紹介されていますが、実際にinstagramを見て店舗まで足を運んでくださるお客様が多いのでしょうか。


別冊付録「ありがたいことに、私たちがアップロードしたインスタグラムの写真を見て本を探してくださるお客さまがよくいらっしゃいます。SNSを見て訪れる方が多いですので、内容には常に気を遣うようにしています」

――私たちが訪問した際にも次から次にお客様が訪れていましたが、特にカメラや携帯を片手に写真を撮る人が多かったようです。訪れたくなる場所としての魅力の他に、そこから購買に結び付けるためにどのような工夫をされていますか。


別冊付録「魅力的な本棚を構成することが優先ですが、すべてのお客さまの好みを反映することはできないので、常に悩でいる部分です。 最近は購入されるお客さまに積み立て式のクーポン券を差しあげているのですが、購入した本が溜まっているようで嬉しいとおっしゃって下さる方々も増えました」





――オンラインでの販売もされていますが、オフラインとオンラインではどちらの利用が多いですか。また、オフラインの実店舗とオンラインの書店それぞれの役割をどのように捉えられていますか。


別冊付録「うちはオンライン書店の販売比重が少し高いです。 オフラインの売り場は天気や休日などといった様々な外部要因が働きますが、それに対してオンラインはもう少し安定している印象です。 ただオフラインのお店には空間が与える魅力があるので、相互で補完し合う役割をしていると思います」



――韓国では日本以上にペーパーレス化が進み、出版業界が危機に瀕し、大型書店の存亡が危ぶまれるようになったことで逆に独立系書店が増加した印象です。今後の韓国の独立系書店の動きはどうなると予測されていますか。


別冊付録「個人的な意見ですが、数年間は、今の状況を維持していって、その後再び少しずつ減るのではないかと予測しています」



――現在の目標、予定や企画していることを教えてください。


別冊付録「近いところでは、2020年4月が別冊付録の6周年になりますので絵のアーティストとコラボした製品を準備することが目標です。遠い目標としては、別冊付録だけの出版物の制作にもっと比重をおくこと。 別冊付録は書店であると同時に同名の出版社も運営していますが、より多様なコンテンツの本を作り、出版社としての役割を育てていきたいと思っています」





photography Ryoko Kuwahara
text Sunkyung AhnShoko MimbutaRyoko Kuwahara




byeolcheck 별책부록 서점
14-11, Yongsandong 2(i)-ga, Yongsan-gu, Seoul, South Korea
Tel: +82 70-5103-0341
Opening hours:13:00-19:30 Closed on Monday
Website:https://www.byeolcheck.kr
Instagram:https://www.instagram.com/byeolcheck/

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