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文学、風俗、政治……文化の交易地としての書店を巡る旅




古来より、新しい文化や先進的な思想は本を通して世界中に拡散されていった。それゆえ、書籍を販売する書店という場所が、時には思想や文化の交易地として重要な意味を持つ存在となることがある。例えばヘミングウェイなどの文豪のサロンとなっていた「シェイクスピア・アンド・カンパニー書店」、東西ドイツの架け橋となった「カール・マルクス書店」もその一つだろう。街単位で見ても、選書や著者との交流などを通して地域で特別な役割を果たし続けている書店は今も多く、その意味は少しも衰えてはいない。


ホルヘ・カリオンの『世界の書店を旅する』は、世界各地に点在するユニークな書店に焦点を当てた紀行エッセイ。


本書に登場する書店の数は300近く、著者が訪れた国は五大陸に渡る。各章には「世界最古の書店」「政治的であるべく運命づけられた書店」といったテーマが選ばれ、旅や旅先での経験を通じて、書店の歴史をひもとき、「私たちにとって書店とは何か?」を問いかける。


各章のテーマごとに、書店と書店主、その店を贔屓にした作家たちが登場する文学、書店が舞台となった映画のタイトルが数多く言及される。建築や見た目の美しさだけでなく、「書店」という存在のみが果たしうる有機的な役割について、著者が訴えかけるものは大きい。


本書では、歴史的に大きな役割を担ってきた実店舗書店だけではなく、電子書籍の成り立ちやAmazonにも言及。書店の未来を考える上でも読んでおきたい1冊だ。


『世界の書店を旅する』
ホルヘ・カリオン
白水社
3520円
Amazon

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