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text by Sunkyung Ahn/Shoko Mimbuta/Ryoko Kuwahara
photo by Ryoko Kuwahara

Can’t live without Books : Interview with index(Seoul)/書店特集:インデックス(韓国・ソウル)インタビュー/인덱스




THANKSBOOKS代表であるイ·ギソプと視覚アートの専門誌である「GRAPHIC」、フォントスタジオ文字研究所というソウルのグラフィックシーンを牽引する三者がタッグを組んだ実験的な書店、index。ユース層が多く集まる大型商業施設「Common Ground」の3階に位置するこの書店は、木の廊下を辿ってガラスのドアを開けて入った瞬間から周囲の喧騒を忘れさせてくれる、オープンでいながら美しい独特の秩序に満ちた空間だ。書店であると同時にコーヒーやポスターなどの販売も行うこの場は、どのような人々を集め、どのように機能しているのか。

――indexという書店名の由来は?


index「本棚の中のすべての本はインデックス(索引、見出し)のキュレーションのもとで収集、陳列されます。キュレーションは、数多くある本の中から特定の本を選定する基準であり、ひいては書店が世の中とどう対話したいかというテーマのようにも思えます。すべての知識と意見を、最適な体系に索引化して読者に提供する、その理想の姿を”インデックス”という名前に込めました」

――Common Groundという場所に本屋を開いた理由を教えてください。


index「indexは弘大前のTHANKSBOOKSの代表であるイ·ギソプの提案により生まれたプロジェクトで、視覚文化の専門誌『GRAPHIC』(発行人:キム·グァンチョル)とフォントスタジオ文字研究所(代表:キム·テホン)が参加して結成されました。彼らは韓国のグラフィックデザイン界の一員として長い間親交があったのです。indexはTHANKS BOOKSと友人たちが集まって作った空間ですが、彼らはここをTHANKS BOOKSとはまた異なる、小規模な文化的書店の実験的なプロジェクトとして運営しています」

――商業施設の中ということもあって客層が若いように見えました。選書する上で気をつけていることなどありますか?


index「確かに20-30代の方が多いですね。 当然、本棚にも彼らの関心事とライフスタイルが重点的に反映されます。 ただ、あまりにも簡単に消えてしまう話題やトレンドとは距離を置くようにしています」
















――木製の戸や階段というオールドスクールな什器と、indexという新しいロゴの組み合わせが際立つ店内でした。新しいものだけでなく、古いものも取り入れたショップレイアウトにされた意図は?


index「読者が本と一緒に長く過ごすことがきるように、リラックスして開放的な空間を作りたかったんです。indexは書店であると同時にポスターショップ、カフェでもあります。 訪れる人々が書架のある空間とカフェ空間を自然に行き来できるよう、それぞれの空間を有機的に構成しました」


――“alone“”with”など本の分類が独特でときめきました。こういう分類などはどのようにして決めているのでしょう?


index「indexのキュレーションは、運営者たちの視点とここを訪れるお客さまの間での相互理解を通じて進化し続けることが大事です。コーナーはその時に新しく生まれたり、消えてしまったりもします。どんな本がどう集められていれば相乗効果を得られるかについてはいつも頭を悩ませていますよ」


―― 一般流通の本とリトルプレス系双方の取り扱いをされているようですが、それらのバランスや気をつけていることを教えてください。


index「本棚の密度を考えながら本を買い入れなくてはいけないので、絶対的な優先順位は、ジャンルや出版形態を問わず“良い本”で有るということ。独立出版物の場合は、入荷の問い合わせをメールで受け付けていますが、収める書架の規模が大きくないので書店内で選別するプロセスを経て入荷します」











――カフェ併設で、コーヒー豆も販売されているようですが、コーヒーへのこだわりがあれば教えてください。


index「コーヒーを抽出する様々な方法のうち、ドリップが”本”の属性に最も近いと思います。 2月にはindexの出版ブランド、“index books”の初刊行物である『abc drip – 멜리사와 원두의 드립커피 배우기a(bc drip-メリッサと豆のドリップコーヒーを学ぶ)』が出版されました。この本は、日常で活用できるいくつかのドリップコーヒーのレシピを提供する実用書で、indexのF&B責任者であるユ・シュエンのコーヒー知識と漫画家キム·ジョンヨンの明るい絵がマッチングした本です。 本とともに開催するイベント”Perfect-drip”(パーフェクトドリップ)は、コーヒー豆の種類や抽出方法など、ドリップの様々な方法を経験しながら、自分が最も好きなコーヒーを選んで楽しもうというメッセージが込められたもの。ドリップコーヒーの魅惑と多様性を共有するために、2月14日から3月15日まで展示会をはじめ、多様なコーヒーのクラスを運営する予定となっています」



――オリジナルグッズも素敵なものが多いですが、グッズやロゴなどのお店のブランディングは書店経営の上でどのような効果をもたらすものでしょうか。


index「“index”という単語が与える感じは理性的かつ分析的で硬い印象があります。それを相殺するような、全く逆の雰囲気の外観で見せることをコンセプトにし、情熱的で感性に富んだ華やかな形のフォントをデザインしました。意味と形が一致しないわけですが、むしろこのような矛盾と衝突が魅力になると考えました」










――Instagramの写真のデザイン性が高く素敵なものが多いですが、スタッフの方でアートディレクションをしている方がいらっしゃるのでしょうか? Instagramを更新する上で気をつけていることなどあれば。


index「indexのアカウントにアップロードされるグラフィック画像は、indexの書体を作ったキム·テホンデザイナーの手を経ています。書店であるだけに入荷される新刊を紹介することも重要な役割なので、本の特性を最大限に引き出せるようなイメージを作るために努力しています」



――韓国では日本以上にペーパーレス化が進み、出版業界が危機に瀕し、大型書店の存亡が危ぶまれるようになったことで逆に独立系書店が増加した印象です。一般流通とリトルプレス双方を扱う書店として、今後の韓国の書店の動きをどうご覧になっていますか。


index「一方では“ペーパーレス”だけでなく、新しいプラットフォームが生まれ続け、本の役割に代わっていますよね。しかし、作家で有る韓江(ハン·ガン)の言葉のように、紙の本は“永遠に新しく出現”するという信念があります。ただ、本屋はもう単に本を売るだけでは十分ではないでしょう。一種の空間ビジネスなだけに、小さな書店の場合はその書店で必ず本を買わなければならない理由を作っていかなければ続けていくことができなくなるのではないでしょうか」



photography Ryoko Kuwahara
text Sunkyung AhnShoko MimbutaRyoko Kuwahara








index 인덱스
3F, 200 Achasan-ro, Jayang 4(sa)-dong, Gwangjin-gu, Seoul, South Korea
Tel: +82 (0)2 -2122-1259
Opening hours: 11:00-22:00
Instagram:https://www.instagram.com/indexshop.kr/


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