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2019年10月の出来事:名作絵本でイラストレーター和田誠を偲ぶ




2019年10月、イラストレーターの和田誠さんが亡くなった。妻は、料理愛好家の平野レミさん。レミさんを見守る“愛妻家”としても多くの逸話を持っていた和田さんは、1959年、ハイライト(タバコ)のパッケージにデザインが採用されたことを皮切りに、数々の企業やイベントのロゴを手がけた日本を代表するイラストレーターの1人。


本の装丁などにも深く携わり、中でも40年以上担当し続けた『週刊文春』の表紙イラストは特に有名だ。また、文章や映画の分野でも才能を発揮。日本のショウビジネスについて評した『ビギン・ザ・ビギン』は角川書店日本ノンフィクション賞を受賞、メガホンを取った『麻雀放浪記』『快盗ルビイ』が共にキネマ旬報ベストテンに選ばれるなど、幅広く活躍をした。


今回ご紹介するのは、そんな彼が挿絵を手がけた絵本『どんなかんじかなあ』。作は、歌手、女優、元参議院議員など多彩な活動暦をもつ作家、中山千夏さんだ。


耳が聞こえない、目が見えない、などいろいろな友だちのことを知りたいと思った主人公の「ひろくん」。自分も目をつぶってみたり耳を塞いでみたりしながら、どんな感じがするのかイメージしようとする。友だちの境遇をイメージすることで、ひろくんがする新しい発見は大人の我々にも響くものばかり。相手の気持ちを想像し、共感しようとすることの大切さに気がつかされる。


障がい、孤児など重いテーマを扱っているのにもかかわらず、そう感じさせないのは、和田さんの持つさわやかな絵の力ゆえ。むしろ、理解や共感が呼ぶやさしい世界を感じることができるだろう。


『どんなかんじかなあ』
文・中山千夏、絵・和田誠
自由国民社
1500円
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