TAIGEN「僕はお客さん全体を見渡したくて。お客さんがどう観てるかも見たいし、そこでヘコむこともあるけど貰うものもあるし、絶対にお客さんを無視したくなくて。自分の世界に入るのとお客さんを無視するのは絶対に違うから。自分の世界は与えるけれども、お客さんが与えてくれる雰囲気は各会場違うし、それは無視しちゃいけないからそこで繋がる。与えるだけじゃなくて、あっちから貰うところがあるからお客さんを見るんだよね」
小林「そう、そこじゃないかな。目を閉じて逃げちゃうような瞬間って曲もただの音楽になっちゃうし」
TAIGEN「それは体験じゃないしね」
小林「そういう風になっていって、自分でもライヴのクオリティが上がってきたなとか、堂々と出来るようになったなって思ってからは、同時に日常生活や普段の仕草、物言い、取捨選択する情報も全部変わっていった気がしてる。ステージ上だけ自分は特別なんだとか、バンドをやってるときだけがオンなんだという感覚がそもそもなくなった。THE NOVEMBERSとしてというのが常に一緒にあるし、ステージ上とステージを降りたときの感覚もそんなに変わらなくなってきていて、それはいいことだと思ってる」
TAIGEN「自分の音楽が誰かを救ったらいいと思いますってよく聞く話だけど、結果的に自分によく作用しないといけないと思うし、ある意味アートセラピーじゃないけど、浄化というか、自分のためにやってるところもある。そこでオフの時も自分が音楽やってるからこそ確立出来たもので変わっていくことが一番いいことだと思う。例えば僕は人とのコミュニケーションが上手いわけではないけど、ミュージシャンだからというのを言い訳に閉ざしたくない。言い訳に使うんじゃなく、ミュージシャンで、音楽をやることで自分に対してもいい作用はあるから、それは肯定的に取っていきたいというのもあるし」
小林「だから健康的だよね」
TAIGEN「そうだね。ミュージシャンだからこのジャンルの人とは合わないとかそういう風に閉ざしちゃうと、違うジャンルの人と相まみえられないし、その人に向かって音楽を発生出来なくなっちゃう。みんなに聴いてほしいからというよりは、人間的な関わりもそうだけども、こっちが扉を開かないと自分の音楽にも飛び込んでくれない気がしてる」
小林「嘘やらハッタリやらって、少なくとも自分自身には分かるから見逃せないんだよね」