ネリノはカラフルな羽毛に覆われた不思議な鳥の家族の末っ子。他の家族と違い真っ黒な羽毛で生まれたネリノは色鮮やかな羽毛の他の兄弟たちに仲間はずれにされていた。なぜ自分だけ真っ黒なのかと悩み、華やかな兄弟に憧れるネリノ。そんなある日、兄弟たちが何者かに拐われてしまうという事件が起きる。心優しいネリノは救出に向かうが、その時、役に立ったのはあれほど嫌がっていた自分の色だった。
それぞれが持つ個性の大切さや区別することの無意味さを教えてくれる本作。黒を基調としたきれいなパステル画はとても鮮やかで、だからこそネリノの強みと弱みを表現するための大切なアクセントともなっている。
著者のヘルガ・ガルラーはオーストリア生まれのデザイナー。本職である室内装飾や映画のロゴデザインの仕事などに携わるかたわら、1968年に初の絵本『まっくろネリノ』を発表した。同年に「オーストリア子供の本最優秀賞」を受賞。長きに渡って、世界中で読み継がれている。
『まっくろネリノ』
作:ヘルガ・ガルラー
訳:やがわすみこ
偕成社
1,000円(税別)
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