年齢は単なる数字であって、オトナになるという境界線は人ぞれぞれ。定義できないからこそ、誰もが答えを探している。多感で将来のことを考え始める14歳の頃、みんなは何を考えて過ごしたのか?そんなファイルを作りたいと始まった「14歳」特集。東京、NYに続くベルリン編には、年齢やバックグラウンド、仕事の異なる個性豊かな15名をピックアップ。
3本目は高校生のフィン。フォトグラファー、DJ、コラージュアーティストという3つの顔を持つ彼の若きクリエイティヴィティとインスピレーション源とは。DJパーティ明けの午後、カフェで彼の話に耳を傾けた。(→ in English)
ーーこんにちはフィン!まずはじめに自己紹介してください。
フィン「僕はフィン、17歳。生まれも育ちもベルリン。フォトグラファー、DJ、コラージュアーティスト、たまにパーティーオーガナイザーをしてる。いつも楽しいことに時間を費やしてるんだ」
ーー14歳のときはどんな子でしたか?
フィン「まだ不安定だったけど、頭の中はクリエイティヴなことでいっぱいだった。友達はそんなに大事じゃなくて、よく部屋に一人こもっては一日中音楽を聴いたり、紙を切ってコラージュを作ったりしてた。本も集めたりしてたよ」
ーー14歳のときにどんな24時間を送っていたか、円グラフに書いてみてください。
ーーでは、14歳のときにどんなことを考えていましたか?
ーー当時の思い出でよく覚えていることがあれば教えてください。
フィン「14歳じゃないんだけど、15歳になる頃にとても大事な経験をしたんだ。家も学校も西ベルリンなんだけど、その頃はたくさん友達がいなくて。そんなときプレンツラウアーベルグ地区で会った友達がクラブのパーティーに誘ってくれたんだ。僕にとっては初めてのパーティーで、たくさんのクリエイティヴでナイスな人、インディペンデントなスタイルの人たちに出会ったよ。僕もこの世界にいたい、そう思ったんだ」
ーーとても大事な経験ですね。14歳のときに抱いていた夢は何ですか?
フィン「映画監督になりたかった。映画が好きだし、写真やアートワークより映画を通してストーリーを伝えるって方が素敵。映画の中では演技や人間の行動もあるしね。映画は僕の内側に感情を作り出してくれる、だからとても大事なんだ」
ーー当時どんな映画を観ていましたか?
フィン「お母さんがたくさん持ってたから、いつもアートハウス系映画を観ようとしてた。クエンティン・タランティーノとか好き。彼の作品はクールで70年代スタイルだから、いつも僕のお気に入りだよ。あとアレハンドロ・ホドロフスキーも。14か15歳のときに『ホーリー・マウンテン(1973)』を観て以来、大好きなんだ」
ーーこの歳でアレハンドロ・ホドロフスキーとこの作品に出会うなんて早いですね!
フィン「そうなんだ。生まれた頃からコンピューターとインターネットが身近だったから、何でもグーグルで検索できるんだよね。インスタグラムでこの作品の写真を見つけて、そしたら観たくなって。自分でもちょっと早かったと思うよ、だってたくさん分からないところがあったからね(笑)」
ーーなるほど。ちなみに今は将来についてどう考えていますか?
フィン「仕事の肩書きより生き方が大事だと思ってる。DJ、ファッションフォトグラファーどちらも成功したいと思う反面、それが厳しいことも知ってる。先週ウィーンのパーティである女の人に会ったんだ。彼女はニューヨークにクラブを所有してて、DJを探してるって言ってた。会話の中で彼女に厳しいことを言われたよ、好きなことを一生続けるのは難しいってことをユースは理解できてないってね。打ち砕かれちゃったけど、時々より深く考えるためにこういう経験は必要だと思ったよ」
ーー3つの異なる活動をしていますが、それぞれどのように始めたのですか?
フィン「最初は14歳のときに写真を始めたんだ。お父さんにアナログカメラをもらったのがきっかけ。それから半年後にアートの授業をきっかけにコラージュを作り始めたよ。古いマガジンがアート教室にたくさん会って、古い紙の質感がとても好きだったんだ。DJはちょうど半年前、16歳の頃に始めたばかり。音楽の知識はジャズが好きなお父さんから教えてもらった。DJのワークショップに参加したとき、運よくターンテーブルを借りる機会があって、それからスタートだね。主にかけるのは80~90年代のオールドスクールなテクノやハウス。ワールドミュージックやソウル、ディスコも」
お父さんにもらったアナログカメラで撮影した初めてのセルフポートレイト
ーーコラージュ作品は宗教的でポリティカルな印象です。コンセプトはあるのですか?
フィン「僕の家族はカトリックだから、いつも宗教についてたくさん考えてる。でも僕は一度も信じたことがないんだ。アレハンドロ・ホドロフスキーの作品を見てから、宗教に美学を見つけたかな。よく夜にラジオを聴きながら小さなデスクの上で制作してるよ」
ーーどうやってそれぞれの活動のバランスを取っていますか?
フィン「いつも1つのことに集中するようにしてる。例えばここ2ヶ月は完全に写真だね。フォトグラファーとして『SLEEK』の記事を2本担当したんだ」
ーーいいですね!14歳のときに影響を受けた、大好きだったものはありますか?
フィン「グレイス・ジョーンズ。最初YouTubeでMVを見たよ、彼女の生き方はクールでクレイジー。もちろんアレハンドロ・ホドロフスキーの『ホーリー・マウンテン(1973)』もね。あとはインスタグラム。13歳のとき初めてアカウントを作ったんだ。最初の投稿はクラシックカーだったのを覚えてるよ。フォトグラファーや映画監督、好きな映画のファンページとかフォローしたかな。視覚的なインスピレーションを受けたよ」
ーーいま14歳を生きている人たちに伝えたいメッセージはありますか?
フィン「インターネットをやめる。物事を探求して、忘れられていない映画を観る。アートに刺激されて何かをする」
ーー最後に何かお知らせがあればどうぞ。
フィン「今年は友達と曲をプロデュースするんだ。モダン・トーキングスの“Brother Louie(1986)” のカバー曲。あと友達がコレクションを発表するからルックブックを撮影予定。本当に楽しみなんだ!」
text Yukiko Yamane
Finn Ethan Killing
@djkillling:https://www.instagram.com/djkillling/
@thecutfather:https://www.instagram.com/thecutfather/
https://soundcloud.com/hallelujahchildren/
(This interview is available in English)