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デヴィッド・リンチの寵愛を受けるNYの3ピース、Au Revoir Simoneが語る音楽、ファッション、そしてクリエイティヴであること(後編)

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ー10年間の活動で印象に残っている、良い思い出、そして逆に悪い思い出があれば教えてもらえますか?

エリカ「私にとっていい思い出は、エールとコラボレーションしたり、ツアーをしたりしたことね。彼らはシンセサイザーの世界ではヒーローだからね」

ヘザー「それから、パリのカルティエ・ファンデーションでデイヴィッド・リンチが自分のアート作品を展示する個展を開いた時、そこプレイ出来たのはバンドとして素敵な経験だったわね。彼は会場に映画『イレイサーヘッド』のセットを再現していて、私たちはそこでプレイしたのよ」

アニー「いま思い出したんだけど、あの時、バックステージがどうなっているか気になっていたんだよね。そしたら案の定、私たちは開館時間よりも前に会場入りして、カーテンだけで仕切ってあるところでスタンバイしていたんだけど、まるで小学校の演劇みたいな気分だったわ(笑)」

エリカ「そういう奇妙な経験もたくさんしたよね」

アニー「そうそう。アザー・ミュージックでのインストア・ショーで、すべてが上手くいかなくて、ずっとフィードバックしてたよね。そんな状況なのに、最前列にはマイク・マイヤーズがいたりして(爆笑)。皆は私たちのことを凝視してるし、フィードバックが酷くて私たちはボーカルの音を外しっぱなしだったし……(笑)。それから。サーストン・ムーアの前座をやった時なんて、他のバンドとケンカしちゃったのよね(笑)。私たちがサーストン・ムーアの直前だって理由だけで、私たちの演奏中に他のバンドがステージに向って、「へたくそ!ステージから降りろ!」って叫んでたのよ!」

エリカ「あと、ブルックリンのローラースケート・リンクでのショーでは、サウンドチェックに時間がかかっちゃってね。そしたらローラースケートをやっていた人たちが、「いつになったらプレイするんだよ!」って叫び始めて、すごく怖い思いをしたわ(笑)」

ヘザー「私なんて泣き始めちゃったしね(笑)。私がショーで泣いちゃったのは2回あって、1つはそれで、もう1つは祖母が亡くなったって連絡を受けた晩のショー。とりあえずショーはやるわって言ったものの、ステージで泣き始めちゃって……(笑)」

アニー「元カレが来ちゃった時のショーはサイアクだったなぁ(笑)。そのカレのことを歌った曲をプレイしたら、後で『性格が悪いよなぁ』とか言われちゃって……(笑)」

ーアルバムをリリースするごとにバンドに寄せられる評価や期待は大きくなっている一方、例えばCDの売り上げだったり現実問題として、音楽を取り巻く環境はこの10年間でますますシビアになっている状況があると思います。これまでに、音楽をやめてしまおうと思ったりしたことはありますか?

エリカ「確かに私たちは皆、サイドジョブを持っているし、人気のあるバンドも普通の仕事をしてたりするの。私たちはツアーもたくさんやってるし、たくさんの人が私たちのことを知っているけど、それでも時々は仕事をしなくちゃいけない状況なのよね」

アニー「前はそうじゃなかったんだけどね」

エリカ「そういった意味では私たちはラッキーだったのかもね。テレビ出演やビデオ出演でギャラを貰えたりするから。でも今では、CDのセールスでは十分なお金は稼げないもんね」

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