—その行動力もそうだし、本でもおっしゃってた「新しいことをいちはやく自分の言葉にして発信したい」という部分も期待してます。ヴィジュアルだけじゃなく、ちゃんとモノ作りもしている人がこれだけ巨大なアイコンになっているというのは、やはり表面的な部分で評価される時代は終わって、本質的な核がないと通用しないし、憧れにもなれなくなるということですから。
植野「今の子たちには本当にカルチャーがないんです。音楽好きな子も少ないし、それが今のリアルだと思う。でも私はカルチャー好きだから、その現状が嫌なんですよ。私が好きな音楽はエレクトロだから、エレクトロってこんなにイケてて最高だというのを発信して、少しでも好きになってくれる人が増えたらいいなと思ってやってますけど、やっぱりカルチャーがないと言われて仕方ない世代だなとは痛感してます。そのわりに『ネオ・ギャル』って新しいカルチャーができたと言われていて、でもそのバックグラウンドは何なんだろうとか考えちゃいますね」
—バックグラウンドというよりルックス的な仕分けなのかな。私もよく海外の子に『日本人の女の子ってみんなドールっぽい』って言われるんですけど、それがなぜかと聞かれると説明に困るんですよね。
田口「多分バックボーンがあって、この音楽が好きだからこの服を着るというよりも、もっと感覚的に分断されてヴィジュアルだけで着るからドール感になるのかも。そのうえ、さらにこと細かに、この部分は誰々風みたいにやってたり、そういう感覚でヴィジュアルを作ってるもんね。それはそれですごくない?」
—まさに日本ならではのミックス感、ディテールの細かさですよね。ツケマもカラコンも誰々風っていうのが出てて。個人的にはもうちょっとパーソナリティが見えるほうが好きですけど、そう言われると自分の個性をなくして装うというのも確かにすごい。
植野「インスタで海外の子たちの反応を見て気付いたのは、やっぱり“カワイイ”が流行ってるのでそこを期待されているし、それを見てさらに外国の子が真似している現象。90年代リバイバルでグエン・ステファニーがまた注目されてるのと同じように、原宿やカワイイがまたアップカミングになってきている。でも私が求められてたり発信したりすることはそこじゃない。ヘアはこういうitっぽいカラーにしても顔はギャルという。それがやっぱり一番盛れるし、東京っぽい。日本人がやるハーフ顔メイクって、本当に外国人がやったら変になっちゃうんだけど、そういう日本人ならではのことを自分に落とし込んでやったり、すごい色のカラコンやヒョウ柄のコンタクトのディテールとか、そういう東京クオリティをもっと発信していこうとは思っています」