インスタグラムでのフォロワーは脅威の115K(115,000人)、数多くのファッション誌にも登場する新世代のアイコン、植野有砂。デザインを手がける「FIG&VIPER」の人気はもちろんのこと、植野自身のヴィジュアルや言動に支持が集まる中、初のオフィシャルブック『#ALISA』が発売された。フォトグラファーであり、また女子の新たなムーブメントをいち早くキャッチする先読み人である田口まきが編集/撮影を手がけ、世界を股にかけてのファッションシュートからメイクのHOW TO、インタビューまでを網羅した一冊である。アイコニックなヴィジュアルと、先見の明と確固としたアイデンティティを併せ持つクリエイター同士である植野と田口に、出会いから本の成り立ち、仕事のあり方についてまで幅広く話を聞いた。なお、NeoLに掲載の写真はすべて写真集に収録されていないエクスクルーシヴである。
(中編より続き)
—確かにまきさんも探究心旺盛で、いろんな新しいことにチャレンジしてますもんね。
田口「『何がしたいの?』ってよく言われます(笑)。私自身、何がしたいんだろうと悩んだ時期もありました。例えば窓口を一個にして、フォトグラファーならフォトグラファーとして成功してから他のことをやらないと中途半端になっちゃうよともよく言われていて。でも、もはや最近はこれが自分の持ち味だからそれでいいと思ってます。
さっきの有砂ちゃんのリアルじゃないけど、面白くないこと続けてるとだんだん元気なくなっちゃうから、職業とかやり方を決めるというよりも、なにか面白そうな方にいくということをずっとやればいいかなと思えるようになりました。もちろん私は写真が好きだから将来どんな職業になっても写真は一生撮りたいし、何かしらを作ることに関わっていたい。特に私は世代が変わって新しく出てくるものに興味があるからそういうことは続ける前提での話ですけどね」
—それはすごく共感できます。私自身も音楽もファッションもアートも好きで選べなくて全部やってるので。その絞らないあり方は、昔はともかく、これだけ多様化してる今では成立しますよね。
田口「だからこそやるんだったら人に迷惑かけたくないし、アマチュアでいたくないと思っています。この本をメジャーにしたいというのも、ミリオンセラーにしたいというわけじゃなくて、有砂ちゃんとやなるならメジャーで勝負したかった。基本はコアなものが好きだし、何か熱があるものやリアルなものが好きだからどうしてもアンダーグラウンドに見られがちなんだけど、おしゃれで高いZINEとかそういうものじゃなく、きちんと出版して、全国の書店やAmazonで買えて何冊売れるかというフィールドで挑戦すべきだし、そうしたかったんです」