ーパリの撮影はあくまで作品撮りだったわけで、そこから本にしようという計画はいつから生まれたんですか?
田口「パリの後です。撮った写真をどうするかというのもあったし、いい写真になったからもっと色々撮りたくて」
植野「パリの写真が本当に良かったんです。すごく自由で楽しかったし、女性同士でやりやすい部分もあったし、なにより本当に写真が好きだった。ちょうど出版社の方からスタイルブック出版の話をいただいていた時期でもあって、まきさんとだったら一番いいものが出来るなと思って、一緒にやりたいですと言って進んだ感じです」
—確かにこの本は二人が一緒に楽しんで作ってるのが伝わってきますよね。それはお互い嬉しいと思うし、一緒に飛び込んで行ってる感覚って重要だと思います。
田口「一緒に本を作ってるスタッフも有砂ちゃんを大好きな子ばかりです。インスタもブログも見過ぎてて、どの写真がどこにあったかまで把握してるくらい(笑)。だからこそアンダーグラウンドにするのはもったいないから、やっぱり沢山の人に見てもらいたいという想いがあって。
好きなことだけやるんじゃなくて、売れる本にしたかった。世に出てるタレントさんの本やスタイルブックも参考にしつつ作っていきました。それも素材だけもらって、チェックしてというやり方じゃなく、パート毎に有砂ちゃんと一緒にすごく話し合って。やっぱり有砂ちゃんはモデルじゃなくてクリエーターだから妥協できない部分があるじゃないですか。それで普通の本よりは結構時間も手間もかけて作ってますね。
有砂ちゃんを紹介してくれた子がこのNYのページも撮ってくれてるんだけど、知り合ったきっかけになった人がちゃんと関わってくれてるのもすごく嬉しくて。それとLAでのシューティング以外は私が撮ってるんだけど、そうやって有砂ちゃんまわりから素材が集まってくるのも楽しかったですね」
—他の人から写真を提供されて本を作るというのも、フォトグラファーとしてのまきさん的には新しい試みですよね。
田口「うん、初めてですね」
—まきさんは多くの人に届かせたいと王道の作りをしようという想いがあって、それに対して有砂さんはどう思ったんですか?
植野「そういう話、してないですよね」
田口「何をやるかという中身についての話から始めたね。」
植野「デザインに関しては、制作していた6ヶ月間に随時いいと思ったものを送ってました。例えば雑誌のページとかをテキストもなしに写メを送ったり(笑)」
田口「有砂ちゃんはイメージソースが色んなところにあって、イケてるものがあったら無言で永遠にLINEに送られてくるっていう(笑)」
植野「メイクページにしても、普段のメイクの他にちょっと作り込んだページをやりたかったので、そういうものも色んな雑誌から探してまきさんに送ってアイデアを出してましたね。あ、でもヒカリエで一回しっかりと打ち合わせしましたね」
田口「そうだ。わりと初期にね」
植野「どういう企画を入れたいかという台割の打ち合わせをしました」
田口「最初は私服やスナップ、ほかに何を入れようか? というところから始まって大きい企画を決めていって、ピンポイントでこれは入れたいというのを決めていった感じかな。本当に情報がリアルだと思います。一方的に『これでいいでしょう』って選ぶやり方ではなく、お店のセレクトとかも、全部有砂ちゃんから聞き出した情報が載ってるから」
植野「服もほぼ私物です。スタイリストさんが付いた企画もありますけど、ちゃんとそういう企画でも服や全体像がリアルですよね」
田口「ちゃんと有砂ちゃん本人が作ってる本にしたくて、そこは身を削ってます(笑)」