菅原玄奨と高橋直宏による2人展「The Metamorphosis」がEUKARYOTEにて開催。二人に通底する制作テーマやモチーフでもある首像を同じ空間に展示される。
菅原玄奨は2018年に東京造形大学大学院修士課程彫刻専攻を修了し、同年に「FUTURE ARTISTS TOKYO — スイッチルーム —(ART FAIR TOKYO)」や「NAKAMA de ART(香取慎吾によるグループ展・日比谷)」に抜擢されるなど、FRPを素材とする立体・彫刻作品の可能性を示しながら徐々に発表の場を広めている。塑造の過程で極力主観を取り払い、プラモデルなど量産品のサーフェイサーを思わせるマット・グレーの塗装による僅かな触覚性と、匿名性が強調された菅原の立体作品は、移ろいゆく現代の表層や、実態の拠り所の無さを内包しながらその存在感を立ち上がらせる。本展では近作である、表面からそれ固有のものとする情報を取り去られダルメシアン犬を並列させた「dalmatian」をインスタレーションとして配置し、新作の首像ではデジタル上のエラーを具象化し、平面と立体双方によるアンビバレンスを可視化させることによって現代社会における本質を考察する。
高橋直宏は現在金沢美術工芸大学大学院博士後期課程彫刻分野に在籍、2017年にはアートアワードトーキョー丸の内にノミネートされるなど、金沢/芸宿を拠点に実験色の光る制作活動を精力的に続けている。技法は伝統的な木彫を本源としながら、チェーンソーで切断されたままの様な木彫の出で立ちは素樸でもあり、異形な魅力を感じさせる。高橋は一つの彫刻の中で彩色を施して輪郭線をあえて強調させたり、ときに塗りつぶして稜線の立体感を失わせることによって見え方と在り方の差異を浮き彫りにし、塊としての彫刻だけではなく、それを取り巻く空間や私たちの身体性に揺さぶりをかける。
今回、新しい試みでもある木彫と石膏を組み合わせた立体や、断続的に繋ぎあわされた大型作品を発表。
本展のタイトルはフランツ・カフカの「変身」より、ある朝起きると虫に変身していた男の目の前の不条理から立脚する話を、眼前に質量をもって確かに存在する彫刻と私たちが対峙することに擬えている。菅原玄奨はモデリング、高橋直宏はカービングと異なる手法ではあるが、人体像を通して現代彫刻の可能性を両極から探る2人の試みを是非。
「The Metamorphosis」
2019年1月11日 (金) – 2月3日 (日)
参加アーティスト:菅原 玄奨、高橋 直宏
EUKARYOTE (東京都渋谷区神宮前3-41-3)[東京メトロ銀座線 外苑前駅 出口徒歩10分]
12:00 – 19:00
休廊 : 月曜日
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