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今もう一度読みたい、湊かなえのデビュー作

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読むと嫌な気分になる後味の悪いミステリー=「イヤミス」の女王とも呼ばれる、湊かなえさんのデビュー作にして、小説推理新人賞、本屋大賞を受賞した衝撃作『告白』。

監督・中島哲也、主演・松たか子で映画化されているが、我が子を中学校内で亡くした女性教師役の松さんの「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」という独白も忘れられない衝撃だった。


そして原作となる『告白』は全6章で構成され、それぞれに語り手がいて、全員が一人称で心のうちを語っていく。


当然、意見が対立することもあるが、それはそのままに、語り手が「女性教師」から、「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わっていく。そうするうちに次第次第に、事件の全体像が浮き彫りにされていくのが、スリリングで本書の読みどころ。


少年犯罪や家庭内暴力、イジメなど、過激な内容や描写があり、結末も決してハッピーエンドとは言い切れない。その後味の悪さは、まさに女王の面目躍如といったところ。それでも本書を14歳で読んでいたらどうだったのだろう……と思ってしまう1冊。あえて今、14歳の自分を想像して読みたい。

『告白』
湊かなえ
双葉社
2808円
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