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オトナになるという境界線は、公的には”20歳(もうすぐ18歳に引き下げ)“となっているけれど、もちろんその年齢になったからといって突然に精神が成熟するというわけではない。なんなら、20歳を超えてもまだオトナになりきれていな人はたくさんいるようだ。じゃあ一体”オトナ”ってなんなのか。確固とした定義は難しいけれど、自分だけの換えのきかない毎日をしっかりと歩むことの延長線上に、自分なりの答えが見つかるかもしれない。
進路が少しずつ重きを増してきて、身体も気持ちも毎日少しずつ変化する14歳の頃、いま楽しく仕事したり生活している先輩たちはどんなことを考えて、どんなことをしていたんだろう。そんなファイルを作りたいと始まった「14歳」特集に、wagashiasobiの稲葉基大が登場。ひょんなことから飛び込んだ和菓子の道で極めながら遊びながら世界へ知られる存在になった彼の”14歳”。
――14歳の時の自分を振り返って、客観的にみてどんな人物でしたか?
稲葉「背が小さく痩せていて色黒、気弱で控え目、勉強もスポーツもイマイチで地味な脇役タイプだったと思います。友達はとても多かったのですが 女子にはほとんど話しかける事すらできませんでした。心の中ではいつも一発逆転を夢見ていました。後に華々しく高校デビューをしました」
――14歳の時にどんな24時間を送っていましたか。
稲葉「6時半起床 7時ジョギング 8時~3時学校 6時まで部活又は友達と遊ぶ 6時夕飯 11時迄TVかファミコン 11時就寝」
――14歳の時に考えていたことは?
稲葉「勉強10% 家族友達10% 将来10% 斉藤由貴10% ドラクエ10% 好きな女の子50%」
――当時の思い出で、自分でもなぜかわからないけれど覚えているような些細な日常の出来事があれば教えてください。
稲葉「教室だったか、時計の文字盤を眺めて”1日25時間にするには、1日24時間が1440分で86400秒だから、1時間を少し短く57分36秒にすれば、たった2分24秒、1分当たり2.4秒の節約で約1時間の余裕が出来、1日を25時間にすることが出来るぞ!”と、ありあまるほど持て余した時間で考えていたことがあります。当時時間に追われた記憶はありません」
――14歳の時になりたかった職業は?
稲葉「プロ野球選手(広島カープ)」
――今の職業についた経緯をきかせてください。
稲葉「高卒でたまたま就職できたのが和菓子屋でした」
――和菓子職人になるためにおこなった努力はありますか。
稲葉「偶然を信じて、ご縁に感謝。ラッキーばかりです。努力は、実力のない自分をしっかり受け止める努力はしています」
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――今の職業についてよかったことと、ちょっと辛いところはどんなものがありますか?
稲葉「NYの店に6年間も勤務できたことと自分の店を開業出来てこうしてNeoLさんに紹介頂ける人になれたことが良いこと。辛いことは、あまりないですが ゴールデンウイーク、お盆、年末年始が忙しい業界なのでちょっと残念なこともあります」
――14歳の時に影響を受けていたり、大好きだったものや作品、人があれば。
稲葉「ファミコンばかりやっていました。あとは、斉藤由貴さんが好きでポスターを何枚も部屋に貼っていました」
――いま14歳を生きている人たちに知ってもらいたい、もしくは知っていると楽になったり、役立ったり、楽しかったり、寄り添ってくれたり、道しるべになるかもしれない作品や物があれば教えてください。
稲葉「本ならカーネギーの『人を動かす』がおすすめです。将来の職業選びの参考にして頂きたいのは、僕の『わがしごと』です。音楽ならブルーハーツ『少年の詩』より子の『それでいいのですか?』」
wagashiasobi/稲葉基大(和菓子職人)
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