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text by Shiki Sugawara

Fantastic Fest /日本未上陸映画特集 : ショートフィルム『Cold Fish』『MONSTAGRAM』『BEDRIDDEN』

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限られた時間内でストーリーはもちろん作品のトーンを確立させることはショートフィルムならではの挑戦とも言えるが、この『Cold Fish』はわずか10分に気味の悪さ、可笑しさ、そしてちょっぴりの切なさという豊かな感情のグラデーションをホラーという枠組みで表現することに成功している一作だ。

あまりの淋しさにわざとシンクを詰まらせて修理工を呼ぶほどに孤独な女性リサは、(おそらく)同じく孤独な金魚を飼っている。しかしある日、そんなリサにとってもあまり嬉しくない“訪問者”がやってくる。

セリフが数えるほどにしかない本作において、奥行きがありながらも息が詰まりそうなほどに狭い画角はリサの孤立感や何かを待ち望んでいる心情を言葉にせずとも伝えるのに有効な視覚的アプローチだ。また、食器洗いをしているリサを金魚の目線で捉えるオープニングシーンは古典的なホラー映画のオープニングシーンのようでありノスタルジックでユニークな仕掛けが施された導入となっている。そんなシンプルでありながら志向が凝らされた作りが、多くの謎を観客の心に残す。

ともあれ自分の姿を金魚に投影させずっと話しかけているリサのような人がいれば、“この人心が疲れているのかな……”と心配になるものだ。もしあなたも心当たりがあれば“訪問者”に気をつけるべきかもしれない。


『Cold Fish』
A lonely woman with a lonely goldfish finds herself at the mercy of a rampaging intruder.
2018, DIR. ALYSSA TRAITZ, 10 MIN., UNITED STATES
https://fantasticfest.com/films/cold-fish

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写真を撮って親の仇を取るがごとくハッシュタグを付けまくり、インスタグラムにアップしようとする母親の手を子供が制してこう言う。「ママ、それをアップすると”モンスタグラム“が来るよ。モンスタグラムは、他人が興味のないプライベートな写真をSNSにアップする人のもとに来て襲っちゃう怪物なんだ!」

もしこのあらすじを読んで少しでも心惹かれたならば、この作品が終わるころにはガッツポーズをしてこう叫んでいるに違いない。「モンスタグラム最高!」と。
「SNS社会で悪い子はいねぇが!」な、現代版なまはげ“モンスタグラム”ああ早く現れてくれないかな……。



『MONSTAGRAM』

2017, DIR. JEROME SABLE, 3 MIN., UNITED STATES

https://fantasticfest.com/films/monstagram

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夜遅くパーティから帰ってきた女性は少し飲みすぎたようで、気分が悪そうにベッドに横たわる。するとどこからともなく声が聞こえる。「もし一言でも発すると心臓が止まる」「もしベッドから降りると脳が飛び散る」「もし寝たら血が噴き出して止まらなくなる」「もし……」。声にによって行動を次々に断たれていく彼女は、だんだんと思考をも支配され始めていく。

得体の知れない何かによる終わりなき追跡という点において、本作の恐怖要素はカルト的人気を博しモダン・ホラーの新機軸となった『イット・フォローズ』(2014年ロバート・ミッチェル監督作品)を想起させるが、たった12分間で与える捉えどころのない不気味さと鑑賞後に残る大きなインパクトは『イット・フォローズ』以上とも言える。ショートフィルムならではの限定性とホラーというジャンルの幅広い自由度による化学反応が生む新たな可能性すらうかがえてしまう恐ろしい怪作だが、悪酔いのなか水を飲むことまで禁じられるとはなんて恐ろしいのだろう。



『BEDRIDDEN』
2018, DIR. FRANKLIN RITCH, 12 MIN., UNITED STATES


text Shiki Sugawara

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