表参道のGYREにて長坂常(建築家) と廣瀬雄一(江戸小紋職人)による展覧会が開催される。
19世紀後半、欧米社会に押し寄せたジャポニスムの波から一世紀半を超えて、今また日本の文化に熱い視線が寄せられている。その潮流の中、アール・ヌーボーにも、そしてリバティ・プリントにも影響を与えた伊勢型紙の世界を、100周年を迎える廣瀬染工場の伝統的技術によって染め上げられた反物や着物を展示することによって、現代に甦らせようとする試みが本展覧会となる。さらに江戸小紋の世界観にインスパイアされた建築家長坂常が4代目廣瀬雄一とコラボレーションすることによって、実験的な反物や着物の製作に関わり、江戸小紋の在り方を今一度捉え直す機会ともなっている。
デザインには伝統的幾何学的なものから、花鳥風月を象徴化したもの、江戸の人々の現実感覚や遊び心を映し出したものまで無数のバリエーションがある。幕末にシーボルトが浮世絵とともに膨大な型紙を持ち帰ったとの逸話もあり、そして、グラフィカルなこともあって、19世紀のヨーロッパの工芸、デザインに少なからず影響を与えたといわれている。実際の型紙は単なるデザインとは異なり、デザインが染めに生かされるためには、紙、道具、工程のひとつひとつにわたって職人の長い経験の上に培われた、知識を超えた身体的な感覚としての「技」が掘り込まれているのだ。 江戸小紋の二次元空間に包摂されているミクロの多元的な世界観を長坂常とのチャレンジングなコラボレーションによって、通常の物理法則が通じない時空連続体とも言われている「亜空間」を創出することをこの展覧会では試みられている。
亜空間として形成する伊勢型紙 江戸小紋の世界
廣瀬染工場創業100周年記念
長坂常(建築家) × 廣瀬雄一(江戸小紋職人)
2018年7月17日(火) – 8月26日(日) 11時 – 20時
EYE OF GYRE /GYRE3F渋谷区神宮前5−10−1
トークセッション:7月19日(木)19:00〜20:00
長坂常×廣瀬雄一 モデレーター=生駒芳子