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text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#54 砂糖抜き

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 さて、砂糖抜きも一ヶ月となった頃、改めて砂糖を体に入れ、その反応を見てみようとした。砂糖抜き自体は、そんなに大変ではなかったけれど、自分へのご褒美として、大好物(だった?)の豆大福を選んだ。タイミング良く沖縄にオープンしたばかりの和菓子カフェ羊羊(ようよう)へ意気揚々と繰り出して、現時点で全ての品物となる豆大福とどらやきを買った。店主がこだわり抜いた材料と、ディスプレイの心地よさは、まるでマラソンランナーがゴール後に祝福を受けているようであった。
 私はそれらを生まれたひよこを両手でつつもように自宅へ持ち帰り、テーブルの上に並べて写真を撮ってから、いただいた。
 まずは、豆大福である。余談であるが、自分は好きなものから真っ先に食べる。その習慣そのままに、手に乗せると柔らかさから形を変えてしまう前に口へと運び、笑顔のようなものを浮かべてパクリとやり、時が止まるのを感じた。これ以上は私の筆力が追いつかないので割愛する。とにかく旨かった。とにかく旨かった。そしてしみじみとした。そして気づいた。大福は、それほど私に負荷をかけないと。
 何のことか言うと、察知したのだ、大福との相性には何も問題ないと。砂糖たっぷりのあんこが入っているのに、あんこは大丈夫だと分かった。科学的な見方からすれば、かなり適当な感想と失笑されるだろう。消化され、吸収された以後の反応こそが大切であって、口に入れた瞬間の思いなどは、ただの思い込みにすぎないと。
 私もそれはそうかもしれないと考える。だが、本当に悪いものは口に入れればある程度分かるのではないか?という考えを否定できない。
 次にどらやきを食べた。これまた時が止まるのを感じた。美しい、とさえ思った。だが、何か違和感がある。耳を済ますように体調に注意していると、途端に体が重くなっていくのが分かった。砂糖と小麦粉との組み合わせが悪いのだろうか、もしくは油なのだろうか。もしくは大福とどら焼きを続けざまに食べたことで、白砂糖へのキャパを超えたのだろうか。
 砂糖と小麦粉との組み合わせとしては他にもクッキーがあるが、確かにその手の焼き菓子を口にすると、同様に体が重くなるのが常だったことを思い出した。これも科学的な根拠などなく、個人の感想である。
 とにかく、砂糖と小麦粉との組み合わせが、私には良くないようだと察した。これだけの発見でもありがたい。苦手を知れば、少なくとも避けることはできる。
 

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