——レイジさんの場合は改善するためにフリーキーにやっていたのを基本フォームに戻してリズムも正確にとるという風に改善していきましたよね。上杉さんは、そういう風に実際になにか行ったことはありますか?
上杉「ひたすら台本に向き合うことはやっています。台本はめちゃくちゃ読んで、その作品に僕の役がいる意味を追求して、時間かけて向き合う。また現場に入ってやってみると違うんですけどね。あくまでその作品やシーンを良いものにするのが仕事なので、そうするためにどうするかに集中して余計なことは考えないようになりました。どう見えているかと考えたり、変に格好つけることがなくなりましたね」
レイジ「監督や他の共演者に委ねようというのが、映画だと作品ごとに変わっていくじゃない? それがバンドはずっと同じメンバーでやり続けないといけない」
上杉「そこでのフラストレーションみたいなものってあるんですか?」
レイジ「フラストレーションはないけれど、それぞれが少しずつ変わっていくから、正解もずっと変わっていっておもしろいよ。毎回状況に合わせて変化させていく必要があるというか」
上杉「4人でひとりと言っていたじゃないですか。誰かの進化と誰かの進化が合わない時もあるんですか?」
レイジ「それもあるし、誰かの欠点は自分の欠点でもあるからそこを修復するのも自分の役目だったりする。それを言わないといけないし、言われたら受け止めないといけない。難しいし、おもしろいよ。ツアーやアルバム制作が終わっても本当の終わりではなく、次に何をやるかって続いていくし」
上杉「それがこうやって続けてきて10年以上ですもんね」
レイジ「人生で始めて組んだバンドがOKAMOTO’Sで、そのままずっときてる。途中でズレテルズもあるけど」
上杉「OKAMOTO’Sは中学時代から有名で、みんな知ってたもんな。『体育館でやってる、ヤベー!』とか言って見に行ったりしていたし。今日は初めてOKAMOTO’Sのオカモトレイジの話を聞いてる気がしていておもしろいです」
レイジ「そんなに変わらないでしょ」
上杉「変わらないです。いま何してるときが楽しいですか?」
レイジ「モンハンワールド(モンスターハンター:ワールド)だね」
上杉「俺も!」
レイジ「あとはやっぱりK-POPを聴いてる時かな。異常にハマっています。最近はなに聴いてる?」
上杉「jan and naomiとSamphaですね。幻想的なものに最近惹かれていて。あと田我流のここ2、3年のミックスとSnoop Lion。今になってラスタファリがヤバいっていうマインドになっていて。深いレゲエじゃなくメジャーでやっているレゲエを聴いていて、マインドのラスタファリがおもしろいなあって」
レイジ「いま見るとかなりおもしろいよね」
上杉「ですよね。K-POPにハマったきっかけってなにかあるんですか?」
レイジ「K-POPにはめちゃくちゃ格好よくて、歌って踊れて良い歌も作れてラップもできちゃう子がいるんだよ。基本的にみんな3カ国語くらい話せたりするし、すごくない?」
上杉「タレント性に惹かれるということ?」
レイジ「才能に惹かれるという面はある。でも普通にハマってるだけだよ。きっかけとかはないかな」
上杉「インスタとか見てるとハマり具合がすごいし、その対象がしょっちゅう移っていく。どういう流れなんだろうと思ってたけど、単純に良いからなんですね」
レイジ「追求癖があるんだと思う。音楽もだけど。少しでも良いなと思ったらとことん追求してすぐ忘れる」
上杉「俺もそうかもしれないですね。熱しやすく冷めやすいって言われる」
レイジ「殿堂入りのやつはかなり深くまで行くけどね。日本語ラップ、岡村靖幸、Tシャツ作りとか」
——インプットだけじゃなくアウトプットまでいくのがレイジさんですよね。吸収だけじゃなく何がそんなに魅力的なんだろうというのを自分の養分にしてアウトプットする。
レイジ「そうかもしれないです。作りたくなっちゃう。アウトプット好きなのかな」
上杉「それが娯楽なのかもしれないですね」
レイジ「あとは、案外ちょっと頑張れば実現できるということを知ってるのが大きいかも。ここ10年くらいで、生きていてこんなことが起こるんだということが結構立て続けに起きた。例えば柊平がこの監督の作品に出たいと思っていたのが叶うようなこと、それを立て続けに体感して。高校の時にYUKIさんと木村カエラさんがすごく好きで(同じマネジメントの)SMAに入るんだけど、SMAに入れているのもよくわからないし。3年以内に二人に会うと宣言してたら実現しちゃったり。岡村ちゃんもすごくハマったら仲良くなれたし、日本語ラップのレジェンドやミュージシャンで会いたい人にはある程度に会えた。好きなグラビアの人たちにも会えたし、韓国のアーティストでも、何故か俺がすごく好きなバンドのヴォーカルからインスタをフォローされて、サイン入りのCDを送ってくれたり。フォロワー100万人レベルの超トップスターなのに、DMしたら返事がきて遊ぶようになって。そういう理解できないことが立て続けに起こるんだけど、自分の興味の矛先がそれを引き寄せるんだと思ってる」
上杉「そっか。冷静に考えると確かに俺が14歳の頃に観ていた行定監督の映画に出ているのもおかしいですもん。でも、レイジくんはそれができると思ってるし、知っている。例えばスピルバーグの作品に10年後くらいに出てそうだなあって、将来的に起こることを知ってるということで。自分に起こることだから予言よりも確信に近い」
レイジ「うん、未来人の微かな記憶って感じ。でも単純に好きから始まってるんだよ。楽しいし、好きなものがあるというのはやっぱり幸せなこと。音楽が職業で本当に良かったって思うよ。音楽を聴くのがずっと好きだから」
上杉「結局そういうことなんですよね。好きだからいくらでも追求できるし、実現できるっていう。俺はまだその確信を持つまでは行ってないから、今日の話はめちゃくちゃタメになりました」
photography Kisshomaru Shimamura
styling Masakata Hattori(Shuhei Uesugi)
interview & edit Ryoko Kuwahara
『リバーズ・エッジ』
TOHOシネマズ新宿他全国公開中
青春の欲望と焦燥感を描く 岡崎京子の衝撃作が、監督:行定 勲×主演:二階堂ふみ×主題歌:小沢健二で待望の映画化!
若草ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎(上杉柊平)が苛める山田(吉沢亮)を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ放置された<死体>を目にする。「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナ。さらに、宝物として死体の存在を共有しているという後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)が現れ、3人は決して恋愛には発展しない特異な友情で結ばれていく。
ゲイであることを隠し街では売春をする山田、そんな山田に過激な愛情を募らせるカンナ(森川葵)、暴力の衝動を押さえられない観音崎、大量の食糧を口にしては吐くこずえ、観音崎と体の関係を重ねるハルナの友人ルミ(土居志央梨)。
閉ざされた学校の淀んだ日常の中で、それぞれが爆発寸前の何かを膨らませていた。そうした彼らの愛憎や孤独に巻き込まれ、強くあろうとするハルナもまた、何物にも執着が持てない空虚さを抱えていた。そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたという報せを、山田から受ける…。
http://movie-riversedge.jp
上杉柊平
1992年生まれ、東京都出身。15年「ホテルコンシェルジュ」(TBS)でTVドラマデビュー。TVドラマ「砂の塔〜知りすぎた隣人〜」(16/TBS)や沖縄国際映画祭でも上映された映画『A.I. love you』(16/宮木正悟監督)や、『シマウマ』(16/橋本一監督)『一週間フレンズ。』(17/村上正典監督)などに出演し、活躍の幅を広げる。10月スタートの「ドクターX〜大門未知子〜」(18/EX)やNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16)、にも出演するなど、今後が注目される若手俳優の一人。
http://www.ken-on.co.jp/artists/uesugi
https://instagram.com/shuhei_uesugi_official/
OKAMOTO’S
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム 『10’S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月に は両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、東京スカパラダイスオーケストラ、ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。2015年9月30日、6thアルバム『OPERA』をリリース。2016年6月1日にNetflixドラマ「火花」の主題歌「BROTHER」を表題曲にしたシングルをリリース。10月29日、東京・日比谷野外大音楽堂公演にてキャリア初の47都道府県ツアーファイナルを敢行。同ツアーからの厳選音源と、ツアー中に書き下ろした新曲「ROCKY」を収録し、ツアーファイナルの映像を全曲収録したBlu-ray付きライヴアルバム『LIVE』を2017年5月31日にリリース。8月2日に7thアルバム『NO MORE MUSIC』をリリース。同年10月7日には中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンの開催を発表し、即完売となる。同月30日より恵比寿リキッドルームを皮切りに全国23か所を回るツアー「OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC」を実施。ファイナルとなるZepp Tokyoも完売となる中、オカモトショウのソロツアーが4月よりスタート。
http://www.okamotos.net