フランス人フォトグラファー、フランソワ・アラール(François Halard)がス ウェーデンとフランスを拠点とする出版社「Libraryman」より新作写真集「Saul Leiter」を刊行。フランソワ・アラールはサイ・トォンブリーやルイジ・ギッリ、 ルイーズ・ブルジョワ、リチャード・アヴェドンら著名なアーティストのアトリエ 撮影を手掛けており、世界で最も評価の高い建築写真家の一人として知られている。本書は、今年の春にBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「ニューヨークが生んだ伝説 写真家ソール・ライター展」も記憶に新しい、画家・写真家のソール・ライターのアトリエを撮影。ライターがこの世を去った2年後の2015年にイー ストヴィレッジにあるライターのアパートメントを訪れ、撮影した写真からは、その場に漂うライターの“気配”が感じられる。 本書の刊行を記念して、ドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』を特別上映。昼の部は上映のみ、夜の部は上 映+トークイベントの2回制のイベントとなり、トークイベントには映画の日本語字幕を担当した米文学者で翻訳家の柴田元幸氏が登壇する。(映画本編 75分、トーク約60分予定)
[イベント概要]
◆昼の部(映画上映) 2017年10月28日(土)
OPEN 13H00 / START 13H30 <通常チケット>1,500円(1ドリンク付)
<写真集付割引チケット>8,300円(写真集+1ドリンク付) ※こちらは映画上映のみの回となります。
◆夜の部(映画上映+トークショー) 2017年10月28日(土)
OPEN 17H30 / START 18H00 ゲスト:柴田元幸(米文学者、 翻訳家)
<通常チケット>2,500円(1ドリンク付) <写真集付割引チケット>9,300円(写真集+1ドリンク付) ※御予約分の写真集は作家のサイン付きとなります。
会場:VACANT 東京都渋谷区神宮前3-20-13 2F
予約ページ:http://peatix.com/event/312738 詳細ページ:https://www.vacant.vc/single-post/saulleiter
presented by twelvebooks supported by TV MAN UNION
映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』
ニューヨーク、ロウアー・イースト・サイド、ドイツ・シュタイデル社が再発見した伝説の写真家の半生を追う。1940年代から絵画の様に豊 かな表現でニューヨークを撮影したカラー写真の先駆者であり、「ハーパーズ バザ ー」や「ヴォーグ」など有名ファッション誌の表紙も飾った写真家、ソール・ライター。しかし、写真に芸術性よりも商業性が強く求められ始めた80年代、彼は表舞台から姿を消した。ところが2006年、写真集で定評のあるドイツのシュタイデル社から、それまで封印されていた個人的な写真などをまとめた作品集が出版されると、80歳を超えた”巨匠の再発見”は世界中で熱狂的に迎えられ、いまも多くの国で回顧展や出版が続いている。いま、彼の写真が私たちの心に強く響くのはなぜなのか? 「人生で大切なことは、何を手に入れるかじゃない。何を捨てるかということだ」 と語り、あえて名声から距離を置いて生きたソール・ライター。その人生がわれわれに語りかけるものとは?
(2012年/イギリス・アメリカ/75分 監督・撮影:トーマス・リーチ 日本 語字幕:柴田元幸 配給:テレビマンユニオン)
[写真集情報]
Saul Leiter by François Halard
何もかも失われた後には何が残るのだろうか?
フランス人フォトグラファー、フランソワ・アラール(François Halard)の作 品集。アメリカ人画家、写真家のソール・ライター(Saul Leiter)が享年89歳で 死去してから2年後の2015年、作者はイーストヴィレッジにあるライターのアパートメントを訪れ、朽ちた壁や空っぽのクローゼット、わずかに遺された私物などを撮影した。ライターの作品は、55年以上暮らしたイーストヴィレッジと深い関係 性があり、抽象的でありながら常にソウルフルなモノクロとカラー写真による作品は、まさに当時のストリートシーンの記録である。2006年に最初の写真集が Steidl社より出版されると「カラー写真のパイオニア」と称されるようになったが、彼自身はこう呼ばれることを好まなかったであろう。ライターは、トーマス・ リーチ監督による2012年のドキュメンタリー映画 「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと (原題:In No Great Hurry 13 Lessons in Life with Saul Leiter)」で「何が写るかはわからないし 時間もかかる」と説明している。ライターの魂を捉えたアラールによる作品集「Saul Leiter」は、ページを めくるうちにライター本人がどこかから出てくるのではないかと思うほどの臨場感を伴っている。アラールは、ライターが残した作品をインテリアの一部として撮っ ているが、そこに写りこんだ身体や人々を除いては、美しいほどに何もない空間が 続く。徹底的に人間や身体が排除されていることを特徴とするアラールの作品において、こうしたものが写し出されていることこそが最も意外な要素かもしれない。
この作品集は、アラールからライターへのオマージュである。
書籍詳細:https://twelve-books.com/products/saul-leiter-by-francois-halard
[展覧会情報]
Saul Leiter by François Halard
2017年10月12日(木)ー29日(日)
会場:POST
東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
12H00-20H00 定休日:月曜(祝日の場合は通常営業)
展覧会HP : http://post-books.info/news/2017/9/30/exhibition-saul-leiter-byfranois-halard
フランソワ・アラール François Halard(写真家)
1961年フランス生まれ。ロバート・ラウシェンバーグ、サイ・トゥオンブリ、ルイーズ・ブルジョワから、近年ではルイジ・ギッリやリチャード・アヴェドン、ジョン・リチャードソンといったアーティストの自宅や有名建築など、自らをインス パイアさせる場所を撮影している。アメリカ版ヴォーグやヴァニティ・フェア、ニューヨーク・タイムズ、AD(Architectural Digest) やアパルタメント・マガジンなどで活躍し、世界で最も卓越した建築写真家の一人と評価されている。建物の歴史、インテリアや展示空間の小さなディテール、光と影によって作られる雰囲気、ポートレイトを撮っている最中のアーティストのふとした眼差しなどを捉えた作品は、多くの写真集や世界中のギャラリーや美術館の展覧会などで展開されている。http://francoishalard.com
柴田元幸
1954年東京生まれ。アメリカ文学研究者、翻訳家。著書に「生半可な学者」(講談 社エッセイ賞 受賞)、「アメリカン・ナルシス」(サントリー学芸賞受賞)、「バレンタイン」など。ポール・ オースター、レベッカ・ブラウン、スティーブン・ミル ハウザー、フィリップ・ロスなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳し、日本の文学シーンに多大な影響を与える。訳書トマス・ピンチョン 「メイスン&ディクスン」で日本翻訳文化賞を受賞。東京大学文学部特任教授。文芸誌 「MONKEY」編集人。