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text by Junnosuke Amai

Interview with Mogwai about『Every Country’s Sun Sun』




——そのデイヴ・フリッドマンとレコーディングするのは、3rdアルバム『ロック・アクション』(2001年)以来、じつに15、16年ぶりということで。プロデューサーとしてデイヴの信頼の置けるポイントとなると、どういったところになるのでしょうか。


スチュアート「前に一緒に仕事をして、ものすごく楽しかったからね。しかも、最高のプロデューサーだし、お互いにすごく良い信頼関係にある。僕達のことを全面的に信頼してくれてるし、僕達もデイヴのことを全面的に信頼してる。毎回すごくスムースに作業できるんだよ。しかも今までデイヴが関わってくれた作品はどれもいい作品ばっかりだしさ。あと、単純にグラスゴーから離れてレコーディングしたかったのもあったんだ。それまでずっとグラスゴーでレコーディングしてたから、ちょっとした変化を求めてたというか」


ドミニク「グラスゴーって寒いし、しかも地元だから、夕飯を食べに家に帰ったりもできるし、それで作業が中断したりとかもしょっちゅうあるからね。今回、デイヴと一緒にレコーディングしたスタジオがまさに何もない僻地みたいなところで、他にやることがないから必然的に作業に集中するしかなかったし、それもプラスに働いたよね」


——前作の『レイヴ・テープス』からこの3年の間に、2本のサウンドトラック(『アトミック』/『ビフォア・ザ・フラッド』)を制作されてますよね。どちらもアンビエント寄りの作品でしたが、今回のニュー・アルバムではとりわけギター・サウンドがラウドなのは、その反動もあるのかな?と。


スチュアート「それはあるかもね。アンビエントものに関しては映画のサウンドで出し尽くしたから、今回はその反動でむしろロック色が強くなってるような気がする」


ドミニク「そうだね。サウンドトラックとかをさんざん聴いてる時期に、さらにサウンドトラックを作るって話になったから、今回はさすがにアンビエント寄りの曲は避けたかったというか。もっとアップビートでライヴで盛り上がるような曲をやりたかったんだ」


スチュアート「あと、今回のアルバムでギターが目立つ理由は、ドミニクが曲を書いてることも関係してるんじゃないかな。ドミニクはいつもギターで曲を書いてるし、最初に曲を作ったときに使ってた楽器がどうしてもメインになっていく。それで、今回ラウドなギターが目立つ曲が多くなってるんじゃないかな」


——なるほど。一方、最近のモグワイの作品ではヴォーカルがフィーチャーされることが増えていますよね。


スチュアート「まあ、それもあくまで曲によるよね。曲とか、曲調とか……結局、歌詞を入れるとしても、ヴォーカルもあくまでも楽器のひとつだと思ってるし、何か特定のストーリーを伝えてるわけじゃないんだ。たしかにどういう言葉を使うのかとか、歌詞に関しては毎回一番苦労するところでもあるんだけど……」


——歌詞に特別な意味はない?


スチュアート「いや、意味がないわけじゃないけど、具体的な何かについて伝えてるとかじゃなくて」


——今回の歌詞はどういうところからインスピレーションを受けて書いてるんですか。


スチュアート「“1000フット・フェイス“は、何も考えずにそのとき思い浮かんだ言葉やイメージを適当に繋ぎ合わせて、でっち上げた(笑)。“パーティー・イン・ザ・ダーク”はもっと苦労してて、言葉をリズムと合わせなくちゃいけなかったりして、そこが難しかったよね。で、デイヴのスタジオでピアノの前に座って、たぶん3日間くらい悩んでたと思うけど、1ヶ月くらいかかったんじゃないかってくらい、恐ろしく苦労して(笑)。そこでストーリーだの何だの色々考えたり、インスピレーションを探して、持っていった本を開いたりして……あまりにも苦痛な作業だから、記憶から抹消したいくらいだよ(笑)」


——ちなみに、今回の『エヴリ・カントリーズ・サン』は、長年連れ添ったメンバーのジョン・カミングス(ギター)が脱退して初めて制作されたアルバムでもあるわけですが。これまでと勝手が違うところはありましたか。


スチュアート「普通だったよ。今までとそんなに変わらないっていうか(笑)。というか、もしジョンの担当が他のメンバーが誰も弾けない楽器だったら状況も違ってただろうけど、ギターはみんな一通り弾けるしね」


ドミニク「まあ、曲作りに参加する人間が一人減ったんで、一人ひとりの担当が増えたってことはあるけど、それでもまあ、なんとかやっていくしかないし」


スチュアート「ちょうどスタジオのベットの台数も限られたからね(笑)。4台しかベッドがなかったし(笑)」


ドミニク「それも重要なポイントだね(笑)。たぶん、アルバムよりも今後ライヴをどうしていくかってことで多少苦労することになるのかもしれないけど。幸い新しいサポート・メンバーのアレックスを見つけたんで。今のところ、すごくうまくやってるし、しかもジョンより男前だしね(笑)」

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