食事も、少なくともベッドに入る3時間前には終えるようにしている。脂っこいもの、消化に時間がたっぷりかかるものは、なるべく少なくする。
あとは、瞑想も大切だ。詳しくはこことは割愛するが、深呼吸を吐く息を長くとりながら10回ほど繰り返すと、副交感神経が優位になり、リラックスできる。
このようなことを気遣えた時には、睡眠の質は70%を超えてくる。逆にそれらができずに、むしろ悪いことばかりして眠ってしまった時には、26%という信じがたい数字を叩き出してしまったこともある。その数字を見た時は、愕然としたものだ。休むべき時に休めていないということは、なんと生き下手であろうか。
平均6時間睡眠だとしても、人生を80年としたら実に20年は眠っていることになる。睡眠の質が、目覚めて活動している60年に影響があるのは当然なのに、不相応に軽んじられてきたようだ。その大切さに気づいたのは、この十年ぐらいのことで、しっかり休むことは、しっかり活動するための準備であるとは知っていても、それに伴うべき行動が追いつかなかったのは、怠惰というよりも、そんなことを気にしなくても十分な体力に恵まれていた年齢だったからで、その若さの神話が角を曲がる時になって、さてさてと重い腰をあげるのだ。
図書館や書店で集めた睡眠に関する書籍は、色合いや語り口こそ違えども、大方述べている内容は一緒で、そこにはアヴァンギャルドな睡眠法は見つからなかった。どの本を手にしても、間違った方向に導くものはほぼ無いので、ここに記すことを参考にしてもらえば十分だと思う。
寝具やナイトウェアへのこだわりは、昼間の活動時での良質のパフォーマンスを得るための投資の一つである。とは、特に女性向けの睡眠本に多い。アロマや音楽などに触れたものも女性向けに多い。雑誌などの特集では、セックスの催眠効果についても触れていたりするが、実際それは寝入りは良くなることはあれど、睡眠の質を上げはしない。それは肉体的疲労や絶頂感などの過度の興奮の反動で落ちるように眠るだけなので、言わば、崖から落ちるような睡眠である。
これはアルコールにも言える。寝入りのために少量のアルコールは良いと大方の人は考えているが、アルコールを分解するのは結構な労働で、分解している間の眠りは浅くなる。寝入りは確かに良くなるが、質自体を向上させることはないとされている。
またある説では、寝付いてから最初の90分の質が、その後の睡眠時間の質全体を決定するとも伝えている。
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