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text by Shoichi Miyake
photo by Junko Yoda

Interview with Thurston Moore by Ryosuke Nagaoka(PETROLZ)

thurston_nagaoka5| Photography  :  Junko Yoda



サーストン「そうなんだ。ロンドンはどう感じた?」


長岡「曲を作ろうと思ってギターを持って行ったんだけど、あまり集中できなかった(笑)。カムデンの語学学校にも行って。ロンドンは居心地いいですか?」


サーストン「どこかよそ者的な感覚はあるけど、今となってはニューヨークにいたときと同じ感覚かな。将来的にはニューヨークもロンドンも関係なく、地球という感覚で住んでいければいいな。今の政治的な概念って国で分け隔てるじゃない? 僕はそれと正反対の考えを持ってるから」


長岡「あなたのニューアルバム(『ロックンロール・コンシャスネス』)はロンドンでレコーディングしたんですか?」


サーストン「ロンドンの教会を改築したスタジオでレコーディングして、シアトルでミックスしたんだ。だから、二つの場所のフィーリングが融合した作品になってると思う。それは最初から目指していたことで。僕がロンドンで好きな場所と、僕にとって重要なシアトルのロックシーンの歴史を結び合わせたかったんだ」


長岡「教会だったスタジオでレコーディングするなんて素敵ですね」


サーストン「そのスタジオの名前は“ザ・チャーチ”というんだけど、とても大きくて美しい場所だよ」


長岡「あなたの音楽にはノイズのインプロパートがあるじゃないですか。あれって意図してできるものじゃないですよね。きっと奇跡みたいな瞬間なんだと思うんですけど」


サーストン「ノイズミュージックをずっとやってきているけど、僕としてはその瞬間に曲作りをやっているような感覚なんだ。フリーインプロビゼーションには60年代から世界中にいろんな流派があって。たとえばオランダにはICPというフリージャズのレーベルがある。そこの考え方は、フリーインプロにはソロだろうが、デュオだろうが、トリオだろうが、あるいはもっと大所帯の編成だろうが、そこにいるすべてのミュージシャンのヒエラルキーが平等で、演奏の上手い、下手も関係ないというもので。音量にしたってそう。そこに上下関係はない。リーダー不在でそこにいるミュージシャンだけで音楽を作る。だから、ジャムとは違うんだよね」


長岡「ああ、ジャムではないんですね。その違いはとても大きいんでしょうね」


サーストン「そう、僕はフリーインプロの感覚が好きなんだ。ミュージシャン全員が平等であることが好きと言ってもいい」


長岡「たとえばフリーインプロで録音しているときに『いや、こうじゃないんだよな』って違和感を覚えることはないですか?」


サーストン「もちろんあるよ。でも、その瞬間はそれでOKなんだ。ライブを重ねるうちにどんどんしっくりくるようになっていくしね。最終的に自己満足だけで終わらないことがポイントになってくると思う。エゴを忘れることが大事なのかなって思うんだ」


長岡「ああ、エゴを忘れるか。なるほど、あなたの即興の素晴らしさを知りたかったんだけど、そういうポイントがあると知れてよかったな」





photography Junko Yoda
interview & text Shoichi Miyake
edit Ryoko Kuwahara


thurston-moore-rock-roll-consciousness-album
Thurston Moore
『Rock N Consciousness』
(Ecstanic Peace library / Hostess)
発売中
itunes
amazon


Hostess Club Presents… Thurston Moore Group
2017/9/19(火)大阪・梅田Club Quattro
2017/9/20(水)愛知・名古屋Club Quattro
2017/9/21(木)東京・恵比寿Liquidroom


Open 18:00 / Start 19:00
チケット:¥7,500(税込・1 Drink別途)

公演official site:http://ynos.tv/hostessclub/schedule/20170919-0921.html

Thurston Moore
ニルヴァーナやダイナソーJrと並びUSオルタナ黄金時代を代表するバンド、ソニック・ユースのフロントマンとして83~11年の間に通算16枚の公式スタジオ・アルバムを発表。ソロで4枚のスタジオ・アルバムと多数のセッション/実験作を発表。12年11月に開催した第3回ホステス・クラブ・ウィークエンダーではヘッドライナーを務めた。13年に新バンド、チェルシー・ライト・ムーヴィングを結成しアルバムを発表。2014年10月、ソロとしては3年半振りとなるアルバム『ザ・ベスト・デイ』をリリース。2017年4月に新アルバム『ロックンロール・コンシャスネス』をリリースした。
https://www.thurstonmoore.com/

長岡亮介(ペトロールズ)
長岡亮介、三浦淳悟、そして河村俊秀の3人組。クルマ好きの長岡が英国でガソリンを意味するペトロールという言葉をグループ名に冠して2005年に結成。ひとつひとつの音が消える瞬間までを意識下に置いたその演奏は人々の集中力を引き付ける。一捻りされた催しなどでリスナーとの信頼関係を築き続け、愛好家は着実に増え続けている。 5枚(※1)の作品をリリース。

(※1) 1.「MUSIC FOUND BY HDR-HC3」ライヴ記録用のビデオカメラHDR-HC3によって収録されたライヴコンセプトアルバム。2008年リリース。現在品切れ。
2.「EVE2009」12月31日にリリースされた初スタジオレコーディングによるミニアルバム 2008年リリース。現在品切れ。
3.「amber」代官山UNITでの単独公演を記念して制作されたシングルCD 2009年リリース。現在品切れ。
4.「idol」ライヴ会場のみで発売しているシングルCD 2010年リリース。現在品切れ。
5.「capture 419」2012年のペトロールズをキャプチャーした従来のライヴ版を逸脱したライヴコンセプトアルバム。 2012年リリース。ライブ会場・JET SETにて販売中。
9月12日(火)東京・新木場スタジオコーストを皮切りにツアー「BASE-12 Ⅱ」をスタート。
http://www.petrolz.jp
http://twitter.com/#!/thepetrolz

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