サーストン「君のルーツはどういう音楽なの?」
長岡「父がブルーグラスのバンドをやっていたんです。その影響でカントリーやブルーグラスを子どものころから聴いてました」
サーストン「いいね。僕は若いころアラバマに住んでいたことがあって。アラバマはカントリーやブルースが盛んなエリアだから、自然と耳に入っていた。60年代、70年代のアメリカを知っている者としては、ジョニー・キャッシュの存在は大きくて。彼は子どものころから重要なシンガーだった。でも、自分でカントリーをやろうと思ったことはないなぁ」
長岡「カントリーって日本だと演歌みたいな感じなのかな」
サーストン「カントリーはヒップな音楽だと捉えていたかな。フライング・ブリトー・ブラザーズやボブ・ディランもカントリーにフォーカスを絞っていた時期があったし。人種差別的なアメリカの音楽文化と結びついたところもあったから、それで抵抗を感じてる人もいるかもしれない。でも、どんなジャンルの音楽にもそういう側面はあるからね。日本の演歌のミュージシャンが使ってるギターってどういう感じなの?」
長岡「クラシックギターが多いのかな?」
サーストン「あの、三弦の……」
長岡「三味線だ(笑)」
サーストン「そう、三味線は演歌では使わないの?」
長岡「民謡に近い曲ではあるかもしれないけど、主には使われてないと思いますね。たとえばポップスの曲にシタールを入れるみたいにエッセンスとして弾かれることはあるかもしれないけど」
サーストン「三味線っておもしろそうだよね」
長岡「あなたが弾いてるのを見てみたい。ノイジーに(笑)」
サーストン「それ言おうと思ったんだ(笑)。三味線にエフェクターを繋げてね。“ノイズ演歌”とかあるのかな?」
長岡「僕が知らないだけで日本のどこかにあるかも(笑)」
サーストン「やってみようかな(笑)。君の出身は東京なの?」
長岡「千葉という東京の隣にある街なんです」
サーストン「じゃあシティボーイだね」
長岡「そんなことないです(笑)。あなたの今のお住いはロンドンですよね?」
サーストン「そう」
長岡「車は乗ってますか?」
サーストン「ロンドンでは乗ってなくて。自転車に乗ってるよ」
長岡「いいですね。僕は車も自転車も好きです」
サーストン「僕も車と自転車は大好きだよ。初めて自分で車を買ったのは30代後半のとき、95年だった。子どもが生まれてから買ったんだ。19歳からニューヨークに住んでいたから必要なかったんだよね。地下鉄に乗ればいいし、車を買うお金もなかったしね(笑)。ニューヨークに行く前は(自宅の)ビートルに身を屈めて乗ってたよ(笑)」
長岡「ああ、身体が大きいから。自転車も大きくなきゃね(笑)」
サーストン「もう、ユニサイクリング(一輪車)でもいいかなと思ってる(笑)。でも、ロンドンは自転車も乗りづらい街だよ。電気自動車にも興味ある?」
長岡「あまりないかな。でも、デロリアンの電気自動車があるみたいで、それはちょっと乗ってみたいかな。もともと古い車が好きなんです」
サーストン「ビンテージの英国車もいいよ。ニューヨークにいるとよく雨が降るし、ビンテージカーがすぐ台無しになってしまうんだよね。でも、カルフォルニアに行くと素敵なビンテージカーがたくさんあって、ジェラシーを覚えたくらい。アメリカには行ったことある?」
長岡「それがないんです。中学生のときにアラスカには少しだけ行ったことがあるんだけど(笑)。アメリカにもちゃんと行ってみたいですね。ロンドンには半年くらい滞在したことがあるんです」