―(笑)。スタークローラーはサウンドもライヴ・パフォーマンスも、すべてが剥き出しで衝動に溢れていると同時に、ロックンロールというカルチャーやヒストリーに対するリスペクトも感じられるところが魅力だと思います。自分たちから見て、スタークローラーというバンドの特別なところはどんなところだと思いますか?
ヘンリー「俺たちは、メンバーそれぞれ色んな音楽のバックグラウンドから来ている。ドラマーのオースティンはアヴァンギャルドとかノイズ系の音楽が好きだし、ベースのティムはランディ・ニューマンとかビーチ・ボーイズ、トッド・ラングレンが好き。で、アロウはオジー・オズボーンやブラック・サバスだし(笑)。で、俺が好きなのはジャック・ホワイトとかだし、それが全部混ざっているのが俺たちの音楽なんだ。みんなのそれぞれのテイストを組み合わせて、新しい音楽を作ってる。俺たちは、それを上手くブレンドさせることが出来るんだよ」
―他のバンドとの違いは何だと思います?
ヘンリー「俺たちは本物(笑)」
アロウ「ちょっと何言ってんの(笑)」
ヘンリー「威圧的なとこ(笑)」
アロウ「そうね(笑)」
―ちなみに、スタークローラーの結成にあたってロール・モデルとなるようなバンドはいましたか? プレスではクランプスやヤー・ヤー・ヤーズ、アリス・クーパー、ニューヨーク・ドールズなどを引き合いに出されることが多いですが、このリストに追加、または修正があれば。
ヘンリー「クランプスは大好き。でも、あまり意識はしてなくて、ただみんなで一緒に音楽を作るのを楽しんでいるだけ」
アロウ「今挙がったバンドはどれも好き。でも、彼らのようになりたいわけじゃないの。彼らからはインスピレーションを何かしら受けているだけで、自分たちにはオリジナルの何かがあると思う」
―では、デビュー・シングルの“Ants”は、スタークローラーというバンドにとってどんなステートメントやアピールを意味する曲になりましたか?
ヘンリー「“Ants”は、『Ants=アリ』が嫌なら、良い害虫駆除業者が必要って内容の曲」
アロウ「俗っぽい人たちを駆除してくれる人たちよ(笑)」
ヘンリー「地球温暖化で、トロピカル化した生き物たちが増えてるからな(笑)」
―(笑)。もう一曲の“Used To Know”についてはどうですか? この曲はどんなことがテーマになっているのでしょうか?
ヘンリー「マジで忘れちゃった。でも、I “used to know(前はわかってた)”。あれは……ラヴソングだよな」
アロウ「そうね。昔は正気だったのに、あなたに会ってからクレイジーになっちゃった、みたいな(笑)」
ヘンリー「でも歌詞は過去形。もうその相手はいないんだ」
―歌詞を書いているのは誰?
ヘンリー「ほとんど俺とアロウだよ。でも、他のメンバーがちょっとしたアイデアを言ってくれたりして、目には見えない歌詞でスパイスを効かせてくれることはあるけどね(笑)」
―リリックのインスピレーションはどんなところから得ているのでしょうか?
ヘンリー「俺たちが嫌ってる人たち。それと自分たちの経験、自分たちに起こること」
アロウ「それも一部よ。インスピレーションは様々ことから受けるわ」
―実際に歌詞を書くときはどのようなことをテーマにすることが多いですか?
アロウ「曲によるわ。けど、テーマのない曲はほとんどないわね。どの曲も、何か意味がある」
ヘンリー「でも、どのソングライターにとっても、何についても歌ってない曲を書くのってゴールだと思うな(笑)。それって、今までで誰もやり遂げてないだろ? みんなその第一人者になりたがってるんだ(笑)」
―ライヴ・パフォーマンスで大事にしているのはどんなことですか? ファッションや、ステージでの演出も含めて。
ヘンリー「怪我をしないこと! じゃないと次の日に響くからね(笑)」
―よく怪我する?
ヘンリー「俺の手なんて切り傷だらけだよ。アロウの脚もボロボロ(笑)」
―ファッションのこだわりは何ですか?
ヘンリー「俺は個人的にピンクが好きなんだ。Tシャツと短パンとテニスシューズ、みたいな普通の格好ではパフォーマンスしたくない。ステージの上では普通の人間じゃないから、道を歩くような格好はしたくない。60年代、70年代ってそうだっただろ? みんなパフォーマンスのためにオシャレしてた。でも今は、みんなストリート・ファッションでパフォーマンスしてる。それって、ショーを楽しみにしてる人たちの興奮を少なからず減らしてしまうと思うんだ」
アロウ「私は色々着るわね。つまらない格好はしたくないだけ。やっぱり人が見てるわけだから。『普通の人』がプレイしているのって、あまりショーを見にきている感じがしないんじゃないかな」
ヘンリー「例えば、KISSみたいなバンドが普通にショートパンツとタンクトップ、みたいなビーチに行くような格好で出てきたらげんなりだろ?」