自分らしくありたいと、誰もが本音ではそう思っている。一方で、それがどれほど難しいことなのかも人々はどこかで認識している。人前に出ることを前提とした職業を選んだ彼にとって、それはなおさらだ。周りの評価は気になりませんかと意地悪く質問をしてみた。
「気に…なる、かもしれないです。でもそこまで深く考えなくてもいいかな。評価を聞いて嘘をつくよりは自分のままでいたいです。批判的な意見にまだ直面していないから、今はむしろマイナスな意見は嬉しい。そういう評価も受け止めて進化していきたいんです。今のところ自分の耳に入ってくるプラスな意見はうそつけーって気持ちで聞いています(笑)」
批判ですら自然体で受け入れるという姿勢が、今の彼にとってもっともナチュラルな世間に対する回答なのかもしれない。最後に今後の活動について質問をした。
「事務所に所属したばかりで、今はとりあえず、俳優業やモデル業をやっていきたいと思っています。音楽の仕事にももちろん興味はあるけれど、それも自然な流れで始められたらいいな。誰かに言われてやるんじゃなくて、自分が今だと思ったときにスタートしたいです」
私たちの生活に纏わり付く日本人的な“ノリ”と自然に彼を取り巻く気流は紙一重だ。彼はそれを敏感に感じ取って、あくまで気流の上にまたがりながら、軽やかに進んでいくのであろう。
Photography Hiromu Kameyama
Text&Interview Makoto Kikuchi