——モノクロームのマン・レイの写真を使ったり、アートワークへも強いこだわりがありますよね。
グレッグ「アートワークは僕にとって大切な要素。いまの時代は、ただ音楽をリリーすするだけでアートワークに力を入れてない人も多いかもしれないけど、強いイメージを持っていて、一目でこれがCigarettes After Sexなんだとわかってもらえるような一貫したアートワークにしたかったんだ。EPも今回のアルバムもそう。わかりやすくもパワフルなものということを意識している。音楽もパッケージも含めて存在としてパワフルでなくてはいけないというのが僕の考えなんだ。アートワークからフィーリングを感じることができるというのはすごく大切だと思うよ」
——ぶっちゃけ、マン・レイの写真を使う許諾をとるのは大変でした?
グレッグ「かなりね(笑)。でもその価値は充分にあるものだから」
——確かに。マン・レイ以外にヴィジュアルでの影響を受けたアーティストはいますか?
グレッグ「ミケランジェロ・アントニオーニという監督の『情事(L’avventura)』という作品があるんだけど、とても美しく、ミステリアスでロマンティックで、これを音楽で表現したらどうなるんだろうと思って曲を作っているところがあるんだ」
——映像を呼び起こすような音楽だからか、ファッションシーンからもあなたの音楽はとても愛されていますよね。Marc JacobsのADでの楽曲使用も話題でしたが、先日もRaf Simonsがショーで楽曲を使ったとか?
グレッグ「そうなんだ。僕もファッションは好きだから、作品を使ってもらえるのは単純に嬉しいよ。音とヴィジュアルが呼び合うというのはとても素晴らしいことだね」
——1stアルバムの録音環境について聞かせてください。スタジオだけではおもしろくないからといろんな場所でレコーディングしてるそうですが、今回はどういうところで録ったんですか?
グレッグ「EPは階段でレコーディングしたんだけど、それがすごくしっくりきたんだ。スタジオでなんて録音したくないと思った(笑)。今回は3日間ブルックリンのリハーサルスペースでレコーディングして、1曲だけ“Each Time You Fall In Love”はNYの映画館の階段で録音したよ(笑)。僕がやっているようなタイプの音楽は、場所からスピリットやキャラクターが生まれることもあるんだ」
——おもしろい発想ですね(笑)。グレッグはギターから曲を作るんですか? PCから?
グレッグ「いろんな方法があって、ギターで歌いながら作るときもあれば、キーボードで作るときもあれば、ラップトップで歌詞を書いて作ることもある。混ざってるね」
——基本的にはひとりで作って、それをバンドメンバーにシェアするんですか?
グレッグ「そうだよ」
——つまり、ひとりでもできてしまうんですよね。でもなぜバンド形態でやるんでしょう?
グレッグ「それで言うと、実はレコーディングは全部自分でやってるんだよね。ドラムもベースも楽器も全て。でもやっぱり10歳でギターを始めたときから、自分はライヴプレイヤーだという意識があって。聴いてきた音楽もバンドのものだし、メンバーやライヴで演奏することが欠かせない要素なんだ。実を言うと、バンドでやるほうがソロでやるより難しい。でもそのぶん、特別ななにかが生まれるし、パワフルなエネルギーが生まれると思う」