―そうした気づきも、やはりスミス・ウエスタン時代を経たからこそ、なんでしょうか。
マックス「過去の経験から学んでることがものすごく多いよ。スミス・ウエスタンズ時代はライヴも今ほどの出来ではなかったし、曲を書くにしたっていちいち確信が持てなかった。まわりからどう思われるかものすごく気にしてたし、どこか型にはまっている部分があったのかも。ただまあ、2人ともそうした過去の経験があるからこそ、今があるわけで、それはすごくよかった」
―最近はバンド形式で活動しているホイットニーですが、曲作りは基本的に2人が中心になって進めている感じですか。
ジュリアン「そうだね。自分とマックスが曲の土台になる部分だとかコードを作って、それを残りのメンバーと共有して……ただまあ、だいたいはアレンジまで全部2人でやっちゃうことのほうが多いね。それで、ここにトランペットの音が必要だなと思ったら、トランペットのできるメンバーを呼ぶっていう。デリバリー方式で、電話1本でメンバーを呼び出して(笑)」
―2人組からバンド形式になることで、曲作りのアプローチやサウンドの傾向はどう変化しましたか。
ジュリアン「基本的なスタンスは変わってないかな。というか、曲作りの根幹になる部分は変えちゃいけないんじゃないかな。自分が一番伝えたいこととか、そもそも曲を書く動機の部分が決してブレないように……そういう意味で、結局、今書いてる曲だって、前回のアルバムで書いてることと根っこの部分は一緒。バンドをやってると、どうしてもそこを変えたくなるものだけど……例えば、ストロークスとかさ。ジュリアン・カサブランカが1人で曲を書いてた最初の2枚は名作だったけど、残りのメンバーが曲作りに参加するようになってから、なんだかパッとしなくなっちゃって(笑)。って、あくまでも個人的な意見だけど(笑)。人数が多いと、方向性を決めるにも中途半端になったり、バンドを一番最初に始めたときのマジックが薄れてしまうってことがあるんじゃないかな」
―ところで、ホイットニーの地元のシカゴといえば、近年、チャンス・ザ・ラッパーやノーネームを顔役としてヒップホップやR&Bが盛り上がりを見せていますよね。
マックス「DJのジョーイ・パープ(※シカゴのラッパー集団、セイヴ・マネーの一員)は友達だし、チャンス・ザ・ラッパーの” All Night”に参加してるノックス・フォーチュンとか……あの曲がチャンス・ザ・ラッパーの中で最高傑作なんじゃないかってくらい(笑)。まあ、そのへんは繋がってるし、全然関係ないシーンって感じじゃないよ。会えば普通にこんな感じで(手をあげて)挨拶するし(笑)。そもそも人間同士の間にジャンルなんて存在しないからね」