マイカ・ルブテによる最新楽曲“SKYDIVER”。映像作家であるUMMMI.が手がけた同曲のMVは、まるで短編映画のよう。ノスタルジックを誘う派手な色味とざらついた質感に彩られた、エモーショナルで奇妙な“戦う女の子”の物語を紡ぐこのMVについて、またふたりの間を繋ぐシンクロニシティについて、改めて話を聞いた。
——ふたりはMVの前から知り合いだったんですか?
マイカ「共通の友人にふたりは合うと思うとずっと言われていたんです。でもきっかけがなくて会えずに2年くらいが過ぎてて」
UMMMI.「うん、がっつり関わったのはこれが初めてですね」
マイカ「THE TOKYO ART BOOK FAIRで声かけたりはあったんだけど」
UMMMI.「そうそう。その前日に雑誌を見てて、『この人とこの服の感じがいい』と思っていつかのためにと記録していたのがマイカちゃんの写真だったんです。翌日に紹介してもらって、『あれ、昨日の子だ!』って驚きました(笑)。その後にマイカちゃんが音楽を送ってくれたんだけど、それがまためっちゃよくて、ずっと家で聴いてました」
——マイカさんは以前からUMMMI.さんの作品を観ていました?
マイカ「はい。ネットでいろんなものを観ていると、直感的に判断して、興味がないとスルーするじゃないですか。でもUMMMI.ちゃんの作品は気になって掘らずにはいられない感じがあった。何とも言えないカメラワークや色味の映像があって、さらにストーリーとしての骨格があって、その両方できるというのがすごいなと。切れ味が鋭いカミソリみたいだった。あと、キレイすぎないところが好きだった。汚いものも映したり、映像美の方向じゃないところが新鮮に見えて。私はスパイク・ジョーンズの初期の頃の8ミリの映像にもすごく影響を受けていて、わざとざらつかせるというのが視覚的にも音楽的にも好みなんです。そういうところが合うかなと感じて、声をかけさせてもらいました」
UMMMI.「出会った少し後、たまたまマイカちゃんが撮影で私の家に来たことがあって。その時に家でファットリップの曲を流してたんです。そしたらマイカちゃんが『ああ、ファットリップだ!』って言ってきて。スパイク・ジョーンズが彼のドキュメンタリーを撮ってるんですけど、私はそれがめちゃくちゃ好きで影響を受けてるという話をしたんです」
マイカ「その時のUMMMI.ちゃんの表情が忘れられない(笑)。『ファットリップは私だと思ったんですよ!』って。会って2回目なのに熱く語ってて、すげえ引き込まれた」
UMMMI。「(笑)。それは未だに思ってます。ファットリップってダメなヤツなんですよ。出だしから泥酔して道端でわけわからないこと叫んでて。昔はファーサイドだったけど、それからギャングスタになって、アル中ヤク中になって追い出されて。スパイク・ジョーンズははじかれものとして彼を描いてるんですけど、それは私だったかもしれない人生だと思ったんです。私もモノを作るしかできないからこうなっていたかもって」
マイカ「私もそのドキュメンタリーを知ってて。あの“What’S Up, Fatlip?”って曲がすごく好きなんです。だから印象に残ってる」