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text by Junnosuke Amai
photo by Riku Ikeya

Communions『Blue』Interview

Photo : Riku Ikeya | Text : Junnosuke Amai | Edit : Ryoko Kuwahara

Photo : Riku Ikeya | Text : Junnosuke Amai | Edit : Ryoko Kuwahara




―下の世代が“メタル世代”だとしたら、コミュニオンズは何世代なんでしょう?


ヤコブ「前に友達から“ヤングハート世代”と称されたことがあるけど、なんかちょっとキャッチーじゃない(笑)?」


―たとえば、コミュニオンズの音楽には、今のコペンハーゲンの音楽シーンやカルチャーにおける自分達の世代の、どういった感覚なり側面が反映されていると言えると思いますか。


マーティン「カルチャーを反映してるというよりも、むしろコペンハーゲンという都市に暮らす感覚を反映してるんじゃないかな。同世代の人間に囲まれて、そこで暮らしている日常というか、都会に暮らす感覚だよね。コペンハーゲンという街そのものが自分達にとってのインスピレーションなんだよ」


―上の世代とは違うという感覚はありますか?


ヤコブ「人それぞれって部分もあるからね。そういう意味では、やっぱり上の世代の反映してるものと自分達の反映してるものは違うんだと思う」


マーティン「自分達のまわりにいるバンドは、何だろう……わりとローファイ寄りだったりして。アイスエイジなんかは、ものすごくユニークな音をやってて、良い意味で荒削りというか……」


ヤコブ「自分達がもし少し前の世代だったら、アイスエイジに影響を受けて似たようなサウンドをやってたかもね。ただ、幸いなことに自分達は少し下の世代だから、そこに踊らされることなく、自分達独自のサウンドを追求していくことができた」


マーティン「そう。少し上の世代は、生々しいというか、ハードというか、要するにパンクだよね。よりパンクな音が中心だったと思うんだけど、そこに今のR&Bとかエレクトロニック・ミュージックの流れが登場して……自分達はちょうどその中間に位置してて、その中で自分達なりの表現を探っていってると思う」


―たとえば、最初の『Cobblestones』(2014年)の頃のコミュニオンズの音って、今と比べるとポスト・パンク寄りで、コールドな感じだったと思うんですね。それが、2年前の『Communions EP』のあたりから今回のアルバム『Blue』にかけて、ぐっとドリーミーで、ポップな感覚が前面に打ち出されていくようになる。その変化は、どのようにして起きたものだったのでしょうか。


マーティン「最初の頃の音が、パンク寄りというか荒削りだったのは、どちらかと言うとレコーディング環境と機材に左右されてるところが大きくて(笑)。仮に今の状況で『Cobblestones』をレコーディングしてたら、もっと暖かくてドリーミーなサウンドに仕上がってたんじゃないかな。そもそも最初に『Cobblestones』を作ったときには何も考えてなかったからね。今はスタジオでできることが増えた分だけ、自分達が本当にやりたい音について意識するようになったんだ」


ヤコブ「たしかに当時は何も意識してなかったかもしれないけど、個人的に、あの作品はあのままの形で良かったと思ってる。あれがまさに今ここに至るまでの最初の一歩なんだよ。そこから確実に進化して成長し続けているし、あの『Cobblestones』の中ですら自分達が成長してるのが見て取れるんだ」


マーティン「それに、常にそのとき自分の状態が作品に反映されるってことがあるからね。作品を作ってからわかる部分もあるし、出来上がった作品を聴いて、自分はこんなことをやりたかったんだと知って、その上で次はこんなことをしたいと新たな欲が出てきたり。そうやって常に変化していくものだからね」


―今のコミュニオンズの煌めきとか魅力というのは――少し意地悪な言い方をすると、やはり“若さ”と結びつけて語られるところが大きいと思うんですね。この先、キャリアを経て年齢を重ねていくにつれて、そうしたコミュニオンズの煌めきとか魅力というのは、どう変化していくと思いますか。


ヤコブ「いわゆるピュアで新鮮な魅力みたいなもの……は、すっかりなくなってしまうのかもね(笑)


マーティン「今の自分達は、春になって新芽を出したばかりの木みたいな状態で、フレッシュな勢いがある。けど、たとえ秋になって枯れ木になったとしても、果実が実る。本当のお楽しみはそれからだよ。純粋さと引き換えにリンゴを食べ尽くしてやるんだ(笑)。そこで初めて大人になるんだろうね」


ヤコブ「年を取ってからも、純粋さをウリにしたお子様向けの音楽をやるつもりはないよ」


マーティン「作品や年齢と共に自分自身も変化していくからね。この先どういう方向に進むのかわからないけど、より自分達にとってパーソナルな表現を追求していくことになるんじゃないかな。今はまわりの色んなバンドと比較されることが多いけど、年数を重ねるにつれて独立した存在になっていくと思うから、その意味でもね」


ヤコブ「本当にそうだね。作品を通して自分達の歴史を積み重ねていくというか、自分達のカラーがどんどん濃くなっていくんだと思う。たとえ年を取って若さが失われたとしても、自分が自分であることには変わりないんだから」


photo Riku Ikeya
interview & text Junnosuke Amai
edit Ryoko Kuwahara


blue


Communions
『Blue』
(Fat Possum / Hostess)
※ボーナストラック4曲、歌詞対訳、ライナーノーツ
1. Come On, I’m Waiting
2. Today
3. Passed You By
4. She’s A Myth
5. Midnight Child
6. Got To Be Free
7. Don’t Hold Anything Back
8. Take It all
9. It’s Like Air
10. Eternity
11. Alarm Clocks
12. It’s Like Air (Live)*
13. Midnight Child (Live)*
14 Eternity (Live)*
15. Got To Be Free (Live)*
*日本盤ボーナストラック


Communions
2014年にMartinとMads Rehof兄弟と高校からの友人Jacob van Deurs Formann、Frederik Lind Koppenの四人で結成され、地元デンマークはコペンハーゲンで活動を開始。当時17歳~21歳と言う若さとストーン・ローゼズ×ザ・リバティーンズと評されたサウンドで瞬く間に世界中で話題に。これまでにシングル2枚、EP2枚をリリースし、ここ日本でも7インチ『Communions EP』は予約の時点で完売するなどインディーキッズの間で大きな話題となった。そして2017年2月デビューアルバム『ブルー』をFat Possumからリリース。サマーソニック2017にも出演が決定。
http://hostess.co.jp/artists/communions/

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